適応障害で長期休業、労災認定され解雇不可?
一般財団法人あんしん財団事件 【東京地判 令和7年7月24日】
【事案の概要】
会社(Y社)との間で労働契約を締結した従業員(Xら)が、適応障害を発病し、平成27年6月から休職をしていた。
労災認定された適応障害は発症から7年以上が経過しすでに治癒したなどとして、令和4年5月、Y社が休業中のXらを解雇した。
Xらは適応障害で労災認定を受けていたので、解雇が労働基準法19条1項本文に反し無効であると訴えた。
【判決のポイント】
X1について
厚生労働省の専門検討会における最新の医学的知見を踏まえると、「適応障害の症状の持続は遷延性抑うつ反応(F43.21)の場合を除いて
通常6か月を超えず、また、遷延性抑うつ反応については持続は2年を超えないとされている」とされていることから、
発症から7年以上の経過は「療養期間の目安」を大きく超えており、適応障害の状態とは言えないと判断。
X2について
職場復帰が可能とならない場合も含め、「療養開始から1年6か月~3年経過した時点で、主治医の意見を踏まえつつ、
専門医にも症状固定の有無等に係る医学的判断を求め、個別にその状況を確認していくことも重要である」との医学的知見から、
療養開始から3年程度を経過した時点で症状固定を判断すべきところ、主治医等との間で、症状固定と判断されるか否かについて、
具体的に検討されたなどの事情はうかがわれず、休業と適応障害との相当因果関係を否定。
【SPCの見解】
精神障害で労災認定された場合、休業が長引き、使用者の社会保険料も同様に負担が必要となります。
また、安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求をされた場合には休業損害の額も膨れ上がり、解雇を検討せざるを得ない状況も予想されます。
・療養のための休業状態が続いているかが重要であり、長期に治療の進捗がない場合、因果関係が切れることがある。
・医師が適切なタイミングで症状固定を検討していないと、「もう療養状態ではない」と解される可能性が高い。
以上を踏まえた今回のポイントは、「労災認定=解雇制限が続くわけではない」です。
実務面においては、専門検討会の報告書にある療養期間の目安を超えて休業している労働者がいる場合、
面談や電話等を通じて会社担当者が症状や治療状況を確認し、症状に変動がないこと等症状固定状態であることを随時記録しておくことが重要となります。


















