労務相談、管理者研修、未払い残業代請求対策なら労務管理センター

未成年者を雇用する場合の注意点について

   

昨年6月に民法の一部を改正する法律案が成立したことは記憶に新しいですが、その中で、成年の定義が見直され、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることになりました。施行は2022年4月からとなります。この成年年齢の引き下げによって企業として労務管理に与える影響はあるのでしょうか。

未成年者を雇用する場合でも社会保険や労働保険の手続きが必要となりますが、社会保険や労働保険の法令は民法上の未成年とは別の年齢要件で規定されていることが多いため、今回の民法改正が施行されたとしても影響はあまりないと思われます。

 

労働基準法では、20歳未満の未成年者については、以下のように区別されています。

(1)20歳未満・・・未成年者

(2)18歳未満・・・年少者

(3)満15歳に達した年度の末日(3月31日)が終了するまでの者・・・児童

 

労働基準法上、未成年者には上記の3つの区分がありますが、その中でも18歳未満の年少者には特別な保護がされており、企業としては年少者を雇用する場合にはこの保護規定についてしっかりと把握しておくことが重要です。今回は、未成年者を雇用する場合、押さえておくべき注意点をお伝えしたいと思います。

1・原則、児童を労働者として使用してはいけません。ただし、例外として軽易で健康と福祉に有害でない仕事については、労働基準監督署の許可を得て修学時間外に働かせることができます。また、映画や演劇の仕事については小学生を使うことができます

2・年少者を雇用するときは戸籍証明書等の年齢証明書を、児童を使用する場合にはさらに学校長の証明書、親権者の同意書を事業場に備え付けておかなければなりません。

3・未成年者の代わりに親が雇用契約を結んではいけません。

4・未成年者の雇用状態が不利な状態であると、労働基準監督署や親が判断したときは、雇用契約を解除することができます。

5・未成年者の賃金を親が代わりに受け取ってはいけません。

6・年少者には、フレックスタイム制・変形労働時間制は適用されません。(一定の範囲内で特例あり)

7・年少者には、36協定を締結していても1週40時間、1日8時間を超えて働かせてはいけません

8・年少者を午後10時から午前5時の時間帯に原則働かせてはいけません。

例外・交代制で働く16歳以上の男性であれば働くことができます。

例外・交代制の会社では監督署の許可を得て午後10時30分まで働かせ、午前5時30分から働かせることが認められます。

例外・災害時は適用されません。

例外・農林水産業、保健衛生業、電話交換の業務に従事する場合も適用されません。

9・児童は午後8時から午後5時の時間帯に働かせてはいけません。

10・年少者には危険業務・有害業務・坑内労働を行わせてはいけません。

11・年少者を解雇して14日以内に帰省するとき、会社はその旅費を負担しないといけません。ただし、労働基準監督署から認定を受けたときは旅費を負担しなくても構いません。

 

以上のように、未成年者の雇用においては、特別な規程がいくつかあります。最近では、業種によっては深刻な人手不足が問題となっており、今まで未成年者は雇用の対象としてこなかった企業が未成年者を雇用することになる可能性が増えてくるでしょう。社会経験の少ない未成年者を雇用する場合、雇用上のトラブルが発生するケースも少なくありません。採用する側としては、未成年者を雇用する上で注意すべき点を理解し、適切な労務管理を行い、トラブルの防止を図ることが重要となります。

 

 

 

 -