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■年金か一時金かで迷う時は(金澤)

      2016/02/21

確定拠出年金や企業年金がある場合、定年退職時に必ず「一時金でもらうか、年金でもらうか」という選択を迫られます。今回は、ご自身に合った選択方法をご紹介します。

「一時金か年金か?」の判断基準は、大きく分けて「税制優遇」と「ライフプランとのマッチング」の2つです。

まず分かりやすいのは「税制優遇」です。要は、「より税金がお得な方を選択する」という考え方ですね。ではどちらがお得かというと、殆どの場合は「一時金での受給」です。理由は、退職時に一時金として受け取る企業年金は、「退職金の一部」として、税制優遇が受けられるためです。
詳しくは下記の国税庁HPにて計算式をご確認いただきたいのですが、例えば40年勤務の場合の控除額は、計算の結果2,200万円になります。つまり、会社からもらえる退職金と確定拠出年金を一時金として受け取った場合の総額が2,200万円を超えなければ「全額非課税!」です。これはすごいことですよね。
たとえ2,200万円を超えてしまっても、超えた分の半分しか課税対象にならないので、かなり少なくなります。しかも分離課税なので、他の所得と合算することで税率が上がるという心配もありません。

ちなみに、公的年金にも控除はありますが、退職金のように全額非課税になるケースはほぼないと思われますし、年金(雑所得)は総合課税なので、その他の所得と合算することで税率が上がってしまうこともあります。
税金のことだけ考えるなら、殆どの場合、一時金の方がお得といえるでしょう。

▼詳しくは、国税庁のHPにてご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1420.htm(退職金について)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1600.htm(年金について)

次の「ライフプランとのマッチング」ですが、これは数字上の損得ではなく、定年後のご自身の人生計画に合った方を選択するという考え方です。
例えば、「一時金で受け取ると浪費してしまう危険性がある方」や「日々の生活費として使用したいと思っている方」は、何回かに分けて入金される「年金」の方が向いているといえますし、逆に「退職時点で、明確な使途がある方(ローンの早期返済、独立開業 等)」や「退職金を元手に、自分で上手く運用できる方」は「一時金」の方が向いているといえます。
確かに、急に大金がドンッと入ってきたら、どうしたって気が大きくなってしまいますし、先日聞いた話では、退職金を受け取った後に「資産運用詐欺に遭ってしまった」とか、「自分の子供が何かと理由をつけてお金の無心をしてくる(孫の教育費用や家を建てる資金のため等)」ということがあるらしく、何だかんだで、どんどん残高が少なくなっていってしまうということがあるそうです。そう考えると、一時金で受け取るのもリスクがあるといえるかもしれません。

但し、年金で受給する場合は口座管理手数料がかかることがありますし、確定拠出年金の場合は、残りの資金での運用が継続するため、全部受給し終わるまでに金額が減ってしまう可能性もあります。その辺も考慮して決めていただくのがよろしいかと思います。
個人的には、金額的損得よりも「ライフプランとのマッチング」を重視して選択した方が、(総額での比較はともかく)精神的満足感は高くなる気がします。

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