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■社会保障協定(鈴木)

      2016/02/21

先日海外で働く場合、年金の二重払いという問題があるという話を聞きました。周りには日本で働く海外の方や、逆に海外で働く日本の方がいるのですが、中には個人的に仕事をされている方もいらっしゃるので、どうされているのか気になってしまいました。

海外で就労する場合は原則として、就労国での社会保障制度に加入する必要があり、元々加入している国の社会保険料と日本との二重の負担を避けるため「社会保障協定」というものが締結されているそうです。
目的は2つあり、1つは社会保険料の二重負担を避ける事。もう1つは、年金を受け取るためには海外でも日本と同じく一定期間の社会保険制度への加入が必要なため、保険料が掛け捨てとならないように、就労国での加入期間を通算して年金を受け取れるようにするためです。ただし、これは二国間での協定であり2015年10月の時点で、ドイツ・イギリス・韓国・アメリカ・ベルギー・フランス・カナダ・オーストラリア・オランダ・チェコ・スペイン・アイルランド・ブラジル・スイス・ハンガリーの15カ国とは社会保障協定に署名、発行済みとなっており、イタリア・インド・ルクセンブルクの3カ国とは署名済み未発行となっています。
各国間での締結なので細かなところはそれぞれ確認していただく必要がありますが、大まかな事は、相手国の社会保障制度に加入していて、事業者から派遣されたり、日本国内で自営業者をしている者が相手国において引き続き自営業者として就労する場合、5年を超えて海外で就労する場合は就労国の法令に従い、就労国の社会保障制度に加入しなければならず、5年を超えない範囲で海外で就労する場合は日本の法令に従い、日本の社会保障制度に引き続き加入すればいいことになっています。
ただし、現地採用されたり、日本で自営業者をしていない人が相手国で初めて自営業者として就労する場合は、就労国の社会保障制度に加入しなければなりません。
また、イギリス・韓国・イタリアの3カ国のみですが、日本と同時期に両国間で就労する場合は、生活の拠点をどちらに置くかによって加入する国が決まります。

現在もスウェーデン・中国・フィリピン・トルコなど政府間で交渉がされているとのことです。

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