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管理人などの断続的業務従事者は犬の散歩まで労働時間なのか?

      2016/02/23

大林ファシリティーズ事件 【最二小判 2007/10/19】
原告:住込み管理人  /  被告:管理会社

【請求内容】
所定労働時間外も一定の業務を行うよう指示を受けていた為、その時間分の時間外手当・休日割増賃金を請求した。

【争  点】
住み込み管理人の時間外・休日について行われた断続的労働(手待ち時間・日常行為時間含む)は全て労働時間なのか?

【判  決】
全てが労働時間であるとはいえず、二審までの判決内容の一部(被告管理会社敗訴の部分)を破棄し、原審差し戻し。

【概  要】
原告AとBは夫婦で、マンションの住込み管理人として雇用された。執務時間は9時から18時までと定められていたが、A・Bは所定労働時間外となる早朝や深夜にも、照明の点灯等の業務を行うよう指示を受け、また休日も平日と同様の勤務状況にあったとして、「在籍期間のほぼ全日について、A・Bともに午前7時から午後10時までが労働時間である(所定労働時間内に行っていた通院・犬の散歩等の日常行動を含む)」として提訴した。

【確  認】
【労働基準法上の労働時間とは】
労働者が使用者の指揮命令(監督)の下にある時間のこと。つまり、始業時刻から終業時刻までの拘束されている時間から休憩時間を除いた時間となる。使用者の指揮命令下にあれば、実際に作業に従事していなくても、直ちに作業を行えるように待機しているような時間等も労働時間となり、このような時間を「手待時間」という。
【監視又は断続的労働に従事する者の労基法・最低賃金法の除外規定(労基法41条・最低賃金法第7条第4号)】
本件原告のような「断続的労働従事者」は、行政官庁の許可を得れば、「労働時間(労基法32条)」「休憩(労基法34条)」「休日(労基法35条)」「時間外・休日労働の割増賃金(労基法37条)」や「最賃法」の適用除外とできる。

 

【判決のポイント】

【本件の論点】本件の「住込みの管理人」のような職種は、「労働時間」と「それ以外の時間」の境界線があいまいになりがちであるため、その区別をいかにつけるかが重要である。判例では、以下のような基準が示されている。
<大星ビル管理事件(最判平14.2.28)>
①労働者が実作業に従事していないというだけでは使用者の指揮命令下から離脱しているとはいえない。
②労働から離れることを保障されていて初めて使用者の指揮命令下に置かれていないといえる。


<本件の一審・二審判決の内容について>
1)始業・終業前後の管理業務や住民対応も労働時間と認定し、以下の時間帯全体を労働時間と判断した。
①平日と土曜日の午前7時から午後10時までの不活動時間
②日曜日と祝日の同時間帯(管理日報より判断)
※但し、二審で「日曜・祝日」「平日の深夜や早朝」の業務は、夫婦どちらか一方のみを労働時間とした。
2)所定労働時間内の「病院への通院」や「犬の散歩」時間も労働時間であるとした。
(理由:管理人という業務の性質上、原告らの一方が所定労働時間内に日常行動をすることは当然に予想される為)


<最高裁で一審・二審の判決内容から覆った点>
1)土曜日については、会社から「1名体制で執務するように」明確に指示されていた為、1名のみで労働時間算定。
2)「日曜・祝日」については「会社が明示又は黙示に指示した業務に現実に従事した時間のみ」労働時間とする。
3)「病院への通院」や「犬の散歩」に要した時間は、会社の指揮命令下になく、労働時間ではない。

【SPCの見解】

■管理人業務のように、実際の作業時間と手待ち時間(待機しているだけで特に作業はしていない時間だが休憩とは別)が断続的に繰り返されるような業務は、業務遂行と私生活の時間が混然一体となってしまいがちであり、明確に区別していないとトラブルに発展しやすい。手待ち時間は労働時間であるため、例えば来客対応などのために長時間管理人室に待機させた時間は(例えその日来客がなかったとしても)原則全て労働時間であり、長時間の時間外労働手当支払い義務が発生してしまうリスクがある。これを回避するには、所定労働時間が終了したら、一切の業務から解放する等の対応を徹底するか、労基法41条3項の適用除外認定を受けて労働時間の適用から外すしかないだろう。

労働新聞 2008/4/21/2677号より

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