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定年後は時給900円、業務減り相当とした一審は

   

九州総菜事件   福岡高判平29.9.7

■請求内容

退職前に時給換算が1,944円あった労働者が、定年後の再雇用時に時給900円、1日6時間勤務での継続雇用を拒否して退職後、定年前の8割の賃金での地位確認を求めた事案。

業務の範囲は定年前より限られ、時給額もパートと比べて不合理ではないとした一審の控訴審。

■争点

被控訴人が再雇用契約について賃金が著しく低廉で不合理な労働条件しか行わないことは、控訴人の再雇用の機会を侵害する不法行為となるか。

■確認

高年齢者雇用安定法により、企業は高年齢者の安定した雇用を確保するため、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入、定年の廃止のいずれかを設けることが義務づけられています。

正続雇用制度とは、事業者が雇用している高年齢者を、希望に応じて定年後も引き続いて雇用する制度。定年到達後も退職の形をとらず継続して雇用する「勤務延長制度」と、退職後再び雇用する「再雇用制度」がある。

日本では、企業の8割程度が継続雇用制度を採用しております。

 

 

【判決のポイント】

継続雇用制度については、定年前後における労働条件が継続性・連続性が一定程度確保されているのが相当である。例外的に定年前のものと継続性・連続性が欠けることが継続雇用制度の下で許容されるためには合理的な理由が必要である。

本件事案においては、定年前はフルタイム労働者であり、フルタイムでの勤務を希望していたにもかかわらず、短時間労働者としたものである。

フルタイムを希望した理由も一定額の賃金を確保するためと解される。

賃金についてみると、定年前は月額賃金を時給換算にすると1,944円となり、定年後の時給900円とは半分にも満たない数字である。

時給だけでなく、被控訴人の提案する労働条件による場合には月額賃金は86,400円となり定年前の月額賃金から75%減少している。

これは継続雇用制度の趣旨にそうものであると言うためには、大幅な賃金減少を正当化する合理的な理由が必要である。

単に労働時間の減少によるものとは認めがたい。よって、正当な理由があるとは言えず、被控訴人が裁量権を逸脱、濫用したものといえる。

【SPCの見解】

定年後も働く労働者は増加しつつあり、今後年金の受給開始年齢が引き上げられればさらに増加することが見込まれています。

そのことに加え、労働力人口の減少により、高年齢者の労働力はより一層重要なものとなってきます。

改正高年法が平成25年4月に施行され、継続雇用の対象者を限定できる仕組みは廃止されました。

経過措置として、平成31年3月31日までは62歳以上の者に対してのみ対象者の限定が可能であり、その後も3年ごとにこの年齢が1歳ずつ引き上げられていきます。

継続雇用制度を採用されている企業におかれましても、定年後の継続雇用を希望する労働者と時間をかけて話し合い、双方が納得する形で再雇用することが大切となってきます。

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