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労働環境における熱中症について

      2016/02/09

ここ数年、夏が来るとただの暑い夏では済まされず、何か脅威となるものを感じながら過ごしているように思います。そのうちの1つが『熱中症』です。オリンピックや高校野球などのように夏はスポーツが盛んなはずですが、最近では屋外での活動を制限しなければならない場面も出てきました。温暖化の影響で、夏が夏でなくなりつつある中で今回は熱中症についてのお話をしたいと思います。

人間は気温の変動に伴い、汗をかきながら上手く体温調節をしています。体温調節ができるくらいの気温や湿度であれば問題ないですが、それ以上となると体内の水分や塩分のバランスが崩れはじめ、体温調節が機能しなくなります。それによって、めまい、意識障害などの症状が出ることを『熱中症』といい、症状によって1度(軽度)、2度(中等度)、3度(重度)に分けられています。
そこで職場や仕事中の熱中症の現状についてはどうでしょうか。厚生労働省の資料によると、過去10年間(平成17~26年)の職場における死亡者数及び休業4日以上の業務上疾病数は、平成22年に656人(うち死者数47人)が最多であり、平成23年から26年も400~500人台で推移しています。これは決して少ない人数とは言えない状況です。
業種別で見ると、過去5年間(平成22~26年)の死傷者数は建設業が最も多く、平成22年では183人(うち死者数17人)となっております。次いで製造業が多く、全体の5割がこれらの業種で発生しています。
月別での発生状況を見ると、過去5年間(平成22~26年)では全体の9割が7月及び8月となっています。これは予想通りのところだと思います。
熱中症は高温多湿の場所でさらに無風の状態で起こりやすいです。このような環境では、汗が蒸発しにくく、脱水状態になりやすいのです。作業を始めた初日に最も負担がかかりやすく、休憩を取らずに作業を行うことで危険性が高まります。さらに、通気性の悪い衣服での作業は汗をかいても体温を下げることが難しいため、熱中症になりやすくなります。

熱中症を予防するには
1 暑さ指数(WBGT)の活用
2 作業環境管理
3 作業管理
4 健康管理 の4つがあります。

1の暑さ指数とは、人の体と外気との熱のやり取りに着目した数値で、湿度、日射など周辺の熱環境、気温の3つを取り入れた指標です。この暑さ指数と気温、相対湿度との関係を参考にするのもひとつの方法です。2は環境の管理ですので、高温多湿の場所の近くに休憩場所を設けるなどの対策を取ることです。3については作業そのものの管理となりますので、作業時間の短縮、計画的に熱に慣れさせる期間を設ける、水分や塩分の摂取、通気性のよい服装の着用、作業中の巡視などがあげられます。4は健康診断の結果に基づき、必要な場合は、就業場所の変更、作業の転換を行うことです。また、健康に不安のある人に対して日常の健康管理についての指導を行い、労働者の健康状態の確認や体温計を備えるなど身体の状況の確認を行うことも必要です。

これからもまだまだ暑さが続くと思われます。これを読まれた方は、無理をなさらずに暑い夏を乗り切ってください。

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