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■キャリア教育について

      2016/02/09

今後、日本の人口はさらに減少し、ますます少子・高齢社会となりますが、この問題に対して、知ってはいながらもどう対処したらよいのか、どう行動したらよいのかわからないという方が多いのではないでしょうか。私ももちろんその一人になりますが、ここでは個人的な意見や考えを述べさせていただきます。
減っていく人口ではありますが、減っていくからこそ一人一人の労働者の存在が大切となり、今後は就職できる年齢以下の子ども向け『キャリア教育』がより重要になるのではないかと考えています。(教育学を勉強してきた身だからこそ思うのかもしれませんが。)
厚生労働省の資料によると、日本の労働力人口(15歳~59歳)は2012年が5,447万人なのに対して、2030年になると4,906万人にまで減少すると予想されています。その差は、541万ですので、福岡県の人口約500万人が減るというイメージになります。これは本当に大きな問題ですが、これに対してどう向き合って、どれくらいの危機感を持てばよいのか未知数なところです。
過去に私が中学校に教育実習へ行き、生徒を目の前にして、早い段階からどんな仕事をしたいか、何をしたいかをイメージした方が良いという話をしました。それがどこまで伝わったのかわかりませんが、これも『キャリア教育』の一つかもしれません。なぜ、早い段階からイメージをした方がいいと伝えたのか、それはどんなに楽しい学校生活を送っていても、必ず就職をする日がやってきて、人は仕事をする時間が大部分を占めるからです。実は私自身、全く就職を意識せずに学校生活を送ってしまった反省があります。そこから、自然にそうなって欲しくはないというメッセージだったのだと思います。

文部科学省による『キャリア教育が必要となった背景と課題』として、
1 社会環境の変化
2 若者自身の資質等をめぐる課題
3 子どもたちの成長・発達上の課題
4 高学歴社会における進路の未決定傾向

学校教育に求められる姿(社会人として自立した人を育てる観点から)
・学校の学習と社会とを関連付けた教育
・生涯にわたって学び続ける意欲の向上
・社会人としての基礎的資質・能力の育成
・自然体験、社会体験等の充実
・発達に応じた指導の継続性
・家庭・地域と連携した教育

『キャリア教育』の推進

これを見る限り、学校教育と仕事とはつながりがあり、切り離されたものではないと感じます。社会環境は常に変動しており、若い世代の価値観としては自由に職業を選択できるメリットがある反面、情報がありすぎてどんな職業に就いたらよいのか迷いが生じやすくなっていることも確かです。そのため、学校において、キャリア形成を早い段階から考えてもらおうと今、さまざま取り組みが行われているようです。
『キャリア教育』を学校教育の段階から行うことは大変望ましい方向だと思いますが、今の学校では、学習等でさまざまな課題が課されることが多く、あれもこれもと知識を詰め込んでいるというのが現状ではないでしょうか。そのため、『キャリア教育』にどれだけの時間を充てることができるのかという疑問が生じます。
今後、労働力人口が減る中で、社会や経済を好循環させていくための一つの方法として『キャリア教育』は有力だと思いますが、余裕がありゆとりがありゆっくり時間をかけて行うことのできる環境があってはじめて、その効果が現れることではないでしょうか。学校現場を見る限り、余裕のなさを感じずにはいられません。仕事を行う労働者の根本や背景には、就職前の教育があり、そこを無視することはできません。『キャリア教育』の充実による人の育成は、やがて労働者の育成につながり、それが企業や社会全体の発展につながると信じるばかりです。

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