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■社会保険・雇用保険の年齢による手続きについて

      2016/02/09

社会保険・雇用保険では、達した年齢に応じて必要な手続きや、保険料の控除等の取扱いをする必要がありますので、社員の節目年齢を意識して漏れがないように気をつける必要があります。
今回は年齢に応じた社会保険・雇用保険の必要な手続を説明したいと思います。

《40歳》
介護保険第2号被保険者になります。

社員が40才に到達したときは、介護保険第2号被保険者に加入することになります。(65歳からは第1号被保険者になります。)したがって、給与計算時に介護保険料の徴収をしなければなりません。40歳に到達した月とは社会保険では誕生日の前日となり、その誕生日の前日が属する月から介護保険料がかかります。その際の健康保険料は「介護保険第2号被保険者に該当する場合」の料率を使用します。届出等の手続きは不要です。

例えば、H27・7・1が40歳の誕生日の場合、前日のH27・6・30日が40才到達日となるので、到達日の属する月である6月から介護保険料がかかることになります。通常は翌月徴収のため、7月給与からの控除となります。

《60歳》
雇用保険 高年齢雇用継続基本給付金の支給

60歳以上の雇用保険被保険者が、60歳以降の賃金が60歳時点に比べて75パーセント未満になる場合に、高年齢雇用継続基本給付金が給付されます。支給対象期間は65歳に達する月までです。ただし、雇用保険の被保険者期間であった期間が5年以上あることが条件です。
(被保険者資格の喪失から新たな被保険者資格の取得までの間に求職者給付および就業促進手当を受給しておらず1年以内であれば「被保険者であった期間」として通算できます。60歳時点で被保険者であった期間が5年に満たない場合は5年到達月を60歳到達月とみなします。)

申請は、公共職業安定所(ハローワーク)に支給申請の手続きをします。

《64歳》
雇用保険料の免除

社員が64才になってから、最初の4月から雇用保険料が免除になります。(64才になった月から雇用保険料が免除されるわけではないので、注意が必要です。)

事業主および被保険者ともに雇用保険料が免除になりますので、被保険者については給与より雇用保険料の控除を中止します。また、事業主は次年度の労働保険の年度更新時において申告する際に、雇用保険料の算定に賃金を含めないように注意する必要があります。

《65歳》
1・介護保険第1号被保険者になります。

65歳になると 介護保険第1号被保険者となり介護保険料は給与から控除しなくなります。65歳到達月分以降の健康保険の保険料は「介護保険第2号被保険者に該当しない場合」の料率を使用します。なお、手続きは不要です。
65歳以降の介護保険料については、市区町村より65歳到達前に本人宛に通知がきます。原則年金から徴収されることになりますが、65歳到達から数カ月間は市区町村に納付することになります。ただし、健康保険組合の場合は65歳以上になっても介護保険料を徴収することもありますので詳しくは健康保険組合の規程に従って下さい。また、65才到達日とは前記同様に誕生日の前日となります。

例えばH27.8.1に65歳の誕生日の人は前日であるH27.7.31が65歳到達日となりますので、到達日の属する月である7月より介護保険料の控除が終了となります。通常は翌月徴収なので、8月給与より徴収を止める必要があります。

2・国民年金第2号被保険者資格の喪失

65歳になり年金受給権を得た人は第2号被保険者でなくなりますので、その被扶養配偶者は第3号被保険者ではなくなります。したがって、それまで第3号被保険者であった被扶養配偶者は国民年金第3号被保険者でなくなり、第1号被保険者への種別変更手続きが必要になります。この手続きは会社ではなく本人が市区町村または年金事務所へ行って手続きをします。なお、健康保険についてはそのまま扶養でいることができます。

《70歳》
厚生年金被保険者資格の喪失

社員が70歳に到達すると、厚生年金保険の被保険者資格を喪失するため、70歳到達月以降分の厚生年金保険料は給与から控除しないようにします。資格喪失日は同様に70歳誕生日の前日となります。「厚生年金保険 被保険者資格喪失届」の提出が必要です。

また、厚生年金の被保険者である社員が70歳到達後も引き続き雇用される場合や新たに70歳以上の社員を雇用する場合は、年金事務所へ「厚生年金保険70歳以上被用者該当・不該当届」の提出も必要となります。これは、平成19年4月以降、厚生年金保険法第27条に規定する70歳以上の被用者に60歳代後半の在職老齢年金の制度が適用になったためであります。

70歳以上の被用者とは、次の要件に該当する人を指します。
①昭和12年4月2日以降に生まれた人
②過去に厚生年金の被保険者期間を有する人
③厚生年金保険の適用事業所に勤務し、勤務日数及び勤務時間が一般の被保険者の4分の3以上ある人

届出により、老齢厚生年金が調整され、全部または一部が支給停止となる場合があります。

《75歳》
健康保険の資格の喪失

社員が75歳に到達すると後期高齢者医療制度に加入するため健康保険の資格を喪失しますので(被扶養者がいる場合は同時にその被扶養者も資格を喪失します。)「健康保険被保険者資格喪失届」(資格喪失日は75歳誕生日の当日)を、被保険者と被扶養者の健康保険証および健康保険高齢受給者証を添付して管轄の年金事務所に提出する必要があります。被保険者本人には75歳になる前に「後期高齢者医療被保険者証」が後期高齢者医療広域連合より送付されます。また、後期高齢医療制度に加入する月以降分からは健康保険料は給与から控除しないようにします。

以上のように、健康保険、厚生年金保険、雇用保険には、年齢の節目により必要な手続がありますので、社員の年齢を意識して、手続もれのないように労務管理する必要があります。

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