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■キャリアアップ助成金 正規雇用等転換コース (北出)

      2016/02/21

「助成金が貰えるって話は聞くけれど、たくさんあるし、どれを選んだらいいの?」
「貰えたら嬉しいけど、手続きが面倒だし、そもそもまず何をしたらいいの?」
「本当にただで貰えるの?返済は必要ないの?」

今週の情報こらむは、助成金のお話です。私も助成金を勉強し始めたときは、頭の中が?マークでいっぱいでした。確かに、返さなくてもいいお金を貰えるのは嬉しいですよね。でも、そんなにおいしい話が本当にあるのか不思議でなりませんでした。

雇用関係の助成金のお金の出所。それは、企業様が払っている雇用保険料です。平成27年の雇用保険率は1000分の13.5です。(建設・農林水産・清酒製造の事業の雇用保険率は、特殊な雇用保険率なので除きます。)そのうち、「労働者負担」分は1000分の5、「事業主負担」分は1000分の8.5です。この事業主負担分の中の、いわゆる「失業保険」に使う1000分の5を差し引いた分。1000分の3.5、これは「雇用保険二事業」分といって、簡単にいうと、国が総合的な雇用対策に使うお金です。助成金は、この1000分の3.5の保険料の中から出ているのです。つまるところ、助成金の出所は企業様が払った保険料なのです。だから、雇用関係の助成金はまったく返済不要。本来なら貰わなければ損な話なのです。

さて、今回ご紹介するのは、数ある雇用関係の助成金のうち、キャリアアップ助成金正規雇用等転換コースです。長く働いて頂いているパートさんや、契約社員さんなどを正社員等に転換すると、最大で一人あたり50万円貰える可能性があります。手続きはちょっと面倒ですが、しっかりやればなんでもありません。

1、キャリアアップ管理者の選任(管理職でOK。)
2、キャリアアップ計画の届出(3~5年以内の計画を労働局に届け出ます。)
3、就業規則の改定(正社員転換規定を盛り込みます。)
4、面接試験等を実施(対象者に試験を実施。)
5、正社員への転換等の実施
6、転換後6ヵ月分の賃金を支給(6ヵ月の継続した在職が必要です。)
7、2ヵ月以内に助成金を申請

対象者は、5の時点で、6ヵ月以上継続して働いて頂いている有期雇用労働者です。有期雇用労働者とは、期間を定めて雇用されている労働者のこと。キャリアアップ助成金正規雇用等転換コースにおいては、派遣さんも含まれます。ただし、貰える金額が違ってきます。中小企業の場合、以下の通りです。

■有期から正規へ転換 一人あたり50万円
■有期から無期へ転換 一人あたり20万円(賃金の5%UPが必要です)
■無期から正規へ転換 一人あたり30万円
■派遣から正規へ転換 一人あたり30万円

しかし、この助成金には、ある取決めがあります。それは、正規雇用転換日の前後一年間で、解雇者を出してはいけないというルールです。また、退職勧奨による離職者も、4人以上出すと貰えません。正確にはもっと細かい取決めがあるのですが、書ききれないのでご容赦下さい。お知りになりたい場合は、お問い合わせ下さい。

ここまでくると、国が何を目指しているのかおぼろげながら見えてきます。要は、雇用の安定を図りたいのです。不安定な有期雇用者をできるだけ無期雇用に転換し、その一方で解雇者を出さない優良企業には、それなりの助成をするということです。

助成金は、今回紹介させて頂いたキャリアアップ助成金正規雇用等転換コース以外にも、たくさんの種類があります。ご興味があれば、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。

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