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■SNS利用に関する危機管理

      2016/02/21

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)というものが世に広く認識されるようになり、世の中は個人からの情報発信がしやすくなりました。個人と社会がよりその距離を縮めたことにより企業にとってもその存在は大きなものとなりました。企業は広告をしやすくなりましたがその反面企業が対処すべきリスクが存在します。

具体的な事案として、某ホテルにおいて有名人が利用したことを従業員がSNSで情報を発信しホテルが非難を受けたケースや某飲食店において従業員が不衛生と思われる写真をアップし店舗の閉鎖を余儀なくされたケースもありました。

このようなリスクを防ぐため従業員によるSNSの利用をどこまで禁止できるのでしょう。
企業が保有するパソコン等の端末からのアクセスブロックは企業の施設管理権に可能と考えます。しかしながら、従業員が私的に利用するSNSについてまで一切の利用を制限することは難しいでしょう。

対応としては以下のようなことが考えられます。
・就業時間のインターネットの私的利用を禁止
・SNS利用に関するガイドラインや規程の作成
・社員研修の実施

これらの対応を実施する中で特に注意すべきは、その“利用時間”や“発信内容に関する制限の範囲”の取り決めです。
過度の制限は法的な根拠もなく私生活に会社が深く介入することで逆に慰謝料請求の対象になるのは避けなければなりません。

利用時間の制限については、就業時間中に限られると考えます。発信内容の制限については、「会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような従業員の行為については、それが職務遂行と直接関係のない私生活上で行われたものであっても、これに対して会社の規制を及ぼしうることは当然認められなければならない」という裁判所考え方から一定の制限を設けることは可能でしょう。

【禁止する投稿例】
・顧客情報や機密情報に関する投稿
・著作権や肖像権などの第三者の権利を侵害する投稿
・会社の業績や経営戦略に関する投稿
・やらせ行為や誤解を招く投稿
・他人へ批判は控えること
・ネット上での喧嘩を売ったり買ったりするような言動は慎むこと

従業員は企業への悪意があっての投稿ではなく、ただ面白いからと言った短絡的な思考によるものがあります。これらはモラルを教育する必要があると言えます。もう一つ大切なことに教育する側がSNSの知識に乏しいということです。どのような仕組みで何が危険かという認識がなく教育が出来ない可能性もあります。まずはどのようなものか知ることも大事ですね。

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