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2028年から大きく変わる遺族年金

   

2025年6月に年金制度改正法が成立し、2028年4月から遺族年金制度が大幅な見直しが施行予定です。今回の改正は「男女不公平の解消」と「子どもの受給しにくさの改善」という、制度の根幹に関わる部分に踏み込んだ非常に大きな改革です。

 

■ 遺族年金制度の基本構造

遺族年金には次の2種類があります。

〇遺族基礎年金(国民年金)

18歳到達年度末まで(障害等級1・2級の子は20歳未満まで)の子のいる配偶者または子本人に支給される年金。
目的は、子育て世帯の生活保障です。

〇遺族厚生年金(厚生年金)

会社員等が亡くなったとき、その配偶者・子・父母等に支給。多くの世帯で家計の基盤となる年金です。

■遺族年金制度の問題1「男女の不公平」

現行制度(遺族厚生年金)では、配偶者が子どもを伴わずに遺族となった場合、妻と夫で受給要件が大きく異なる仕組みになっていました。

  • 妻(女性)

・30歳未満:5年間の有期給付

・30歳以上:生涯受給(無期)

→ 事実上、幅広い年齢で保障される仕組み。

  • 夫(男性)

・55歳未満:受給権なし

・55〜59歳:権利はあるが60歳から支給

→ 若年期ほどほとんど受け取れない極端な制度。

この仕組みは「夫は働き、妻が扶養される」という旧来の家族モデルを前提として設計されており、共働きが主流となった現代では男性の不利益が非常に大きい制度として批判が続いてきました。さらに、妻にだけ支給される中高齢寡婦加算(年約62万円)も、男性には存在せず男女差を固定化する要因でした。

 

■改正内容

2028年4月以降の改正後、男女差が次のように大きく解消されます。

  • 60歳未満の配偶者(男女共通)

原則5年間の有期給付へ一本化。
※5年間は「有期給付加算」により、現行の遺族厚生年金額の約1.3倍に増額。

※低所得など配慮が必要な場合は最長65歳まで所得に応じた給付を継続。

※本改正は2028年4月1日以降に発生する死亡事案から適用。既受給者の取扱いは変わりません。

  • 60歳以上の配偶者

→ 生涯給付(無期)は維持。

  • 中高齢寡婦加算

→ 2028年施行後の新規発生分を25年かけて段階的廃止(既受給者は影響なし)。

これらにより男女の扱いはほぼ揃い、ようやく制度の公平性が確保されます。

 

■ 遺族年金制度の問題2「子どもが受け取りにくい」構造

遺族基礎年金には、子どもの受給権が「養育する大人の属性」に左右されることにより受給がしにくい問題がありました。厚労省は次の具体例を問題事例として明示しています。

 

  • 典型例

「離婚後に父が養育 → 父が死亡 → 母が引き取ったが、母が受給要件を満たさず、結果として子どもが受給できない」

母が

・再婚している

・年収が850万円以上

・制度上の受給者要件を満たさない

など、「子どもとは無関係な事情」で、子が本来受け取れるはずの遺族基礎年金を失う事案が多発していました。再婚家庭・ひとり親家庭・親族養育・離婚後の再養育などでは、特に不利益が大きく、現場でも相談が絶えなかった問題です。

  • 改正後は子どもの受給優先へ大転換

2028年改正では、この構造が抜本的に改められます。養育する大人の状況に関わらず子どもが遺族基礎年金を受給できる仕組みに変更されます。たとえば次のようなケースでも支給可能になります。

・母が再婚している

・母の収入が高い

・親族や祖父母が養育している

・生前すでに離婚しており、子の生計を維持していた夫が死亡後、元妻が子を引き取った

以上のようなケースでも子ども自身が要件を満たしていれば受給権が確保され制度は「子ども中心設計」へと大きく変わります。

今回の改正は、制度的な不具合を正面から是正するものです。「共働き時代に即した男女平等の制度」、「子どもの生活保障を目的とした本来の遺族年金の姿」この2つがようやく実現へ向かうと言えます。

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