外国人の就労に関する在留資格について
外国人労働者にかかる相談が増えております。外国人の活動は範囲が決められていることが多く、資格外の活動に従事させた場合、事業主は不法就労助長罪に問われる可能性があるため、雇い入れの際に留意が必要です。そこで就労に関する在留資格(就労ビザ)についてまとめます。在留資格の活動の詳細は出入国在留管理庁HPで確認ができます。
1.就労に制限のない在留資格
以下の在留資格は身分・地位に基づくもので、就労の制限はありません。
・永住者
・日本人の配偶者
・永住者の配偶者等
・定住者
2.就労が認められない在留資格
以下の在留資格は、原則として就労することができません。
・文化活動・・・収入を伴わない学術上・芸術上の活動等を行うため。
・短期滞在・・・観光、保養、スポーツ、親族の訪問等で90日以内の滞在のため。
・留学・・・本邦の大学等の教育機関において教育を受ける活動のため。
・研修・・・日本の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動のため。
・家族滞在・・・「教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、文化活動、留学」の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子のため 。
※文化活動・留学・家族滞在の在留資格については、「資格外活動の許可」を受ければ一定の範囲内で就労が可能になります。
3.就労が認められる在留資格(活動制限あり)
以下は定められた範囲で活動ができる在留資格であり、主だった職業を記載します。
外交 ・・・外国政府の大使,公使等及びその家族
公用・・・ 外国政府の大使館・領事館の職員等、公の用務で派遣される者及びその家族
教授 ・・・大学教授等
芸術 ・・・作曲家,画家等
宗教 ・・・外国の宗教団体から派遣される宣教師等
報道・・・ 外国の報道機関の記者,カメラマン等
高度専門職 ・・・学術研究や経済の発展に寄与するため学歴・ 職歴・年収等の項目毎に付与されるポイント制により審査される高度人材
経営・管理 ・・・企業等の経営者,管理者等
法律・会計業務 ・・・弁護士,公認会計士等
医療・・・ 医師,歯科医師,看護師等
研究・・・ 政府関係機関や企業等の研究者等
教育 ・・・中学校・高等学校等の語学教師等
技術・人文知識・国際業務・・・機械工学等の技術者,通訳,デザイナー,私企業の語学講師等
企業内転勤 ・・・外国の事務所からの転勤者
介護 ・・・介護福祉士
興行 ・・・俳優,歌手,ダンサー,プロスポーツ選手等
技能 ・・・特定の技能を持つ外国料理の調理師,スポーツ指導者等
特定技能1号・・・特定産業分野(16分野)に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務
特定技能2号・・・特定産業分野(11分野)に属する熟練した技能を要する業務
技能実習・・・ 技能実習生
4.就労の可否は指定される活動による在留資格
・特定活動
特定活動とは個々の外国人について法務大臣が特に指定する活動を行うものに与えられる46種類ある資格です。該当例は、卒業後に日本で就職活動を行う外国人留学生、アマチュアスポーツ選手、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等、就労せずに在留する活動から専門的な活動まで幅広い活動が含まれます。就労できるかどうか、またその範囲は、「指定書」を確認する必要があります。
◇特定活動(告示46号(本邦大学等卒業者))について
よくご相談される内容に、「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の記載がある労働者を雇い入れて良いのだろうか?」というものが多くあります。この在留資格は就職先で従事する職務内容が専門的技術的な内容であり、かつ、大学での専攻と関係がある必要があります。いわゆる単純労働とみなされる職種で働くことは認められません。
そこで人手不足やインバウンド対策等のニーズを受けて、日本の大学等を卒業し高度な日本語能力を活かして日本の多様な産業で働けるよう特定活動(告示46号)が2019年に創設されています。常勤雇用である、高い日本語の能力を有すること等の要件を満たすことで小売・販売業や工場のライン作業、ホテルのドアマン等の幅広い職種への就職が認められ得るということになります。大学を卒業する留学生が卒業後、どの企業でも就職しやすい在留資格である特定活動(告示46号)についてもおさえておきましょう。