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在宅勤務(テレワーク)の功罪

   

総務省の2018年の通信利用動向調査によると、東海地方の企業はテレワークの導入率が近畿と同じ18.8%。北陸(26.3%)、首都園(25.8%)に後れを取ってきました。中小企業に限れば、さらに低いとみられます。また、民間調査機関「パーソル総合研究所」(東京)が全国2万5千人に調査したところ、7都府県に緊急事態宣言が出された4月7日以降、テレワークを実施したと答えた人の割合は27.9%。このうち68.7%がテレワークは初めてとのことでした。国勢調査に基づく推計では約760万人の正社員が在宅勤務をしていることになり、そのうち約522万人が初心者ということになります。

新型コロナ感染前の、在宅勤務に対する導入相談には、「対象者」がポイントですと、強調していました。つまり、従業員からの便宜的な導入ではなく、会社サイドからの「なくてはならない業務を担う人材活用」の視点での導入をお勧めしていました。それが、感染防止の視点が重視され、安全衛生の面からも「対象者」は経営幹部以外の全員のような広がりを見せています。それにともなって、幾多の問題が浮かび上がってきました。

1 自宅で気が緩む

2 だらだら残業してしまう

3 子どもがいて集中できない

4 職場内の意思疎通が減った

5 目・腰・手首・顎への負担

こられに対しては、コンサルタント会社「テレワークマネジメント」(北海道)代表の田沢由利氏がコメントしておられます。

1 部屋着はNG。普段の仕事着で。机が合わなければ、本などをパソコンの台座に。

2 職場と同じスケジュールを意識。定時になったら上司からも一声。予定通り終われば、自分にごほうびも。

3 お昼寝など手が空いた時間を生かす。無理をさせないよう上司からも配慮。

4 仕事以外の雑談もチャットなどで積極的に。テレビ会議ツールも多用する。

5 運動不足にならないように、定期的に体操をする。散歩もおすすめ。

ただ、会社側みれば、思わぬメリットも垣間見えてきました。

「労働時間の長さではなく、数字などの成果によって可視化」されるいうことです。

通常、在宅勤務では、事業場外みなし制度や裁量労働制によって、「所定労働時間みなし」が採用されます。つまり、残業は発生しないことになります。

その中で、在宅勤務者を束ねる管理職が顧客満足につながる=成果に結びつく業務把握をする必要が出てきます。

いかに、自律的に時間と場所から解放された業務遂行ができるか、それが問われるということです。

そのためには、管理職は、プレーから離れて、マネジメントに特化しないと「指導」「評価」は難しいことになります。

そうなると、業務そのものに、「裁量性」がないと成果ははかれないということにもなります。

いかがでしょうか。

在宅勤務に自律的な裁量性が付与できない場合は、あえて「自宅での教育訓練」を課してもいいような気がします。

その際は、雇用調整助成金が、今回のコロナ感染については、認められる可能性が高いです。

人材、業態、業種によって、在宅勤務ではなく、「自学時間」を検討してみてもいいと思います。ピンチはチャンスです。

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