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最低賃金にかかわる注意点

      2018/09/03

こんにちは。今回コラムを担当する田中です。

お盆も過ぎましたが、まだまだ暑い日が続きます。熱中症には引き続き注意して下さい。

今回のコラムの内容ですが、最低賃金のことを書きたいと思います。

最低賃金に関する議論は最低賃金審査会と言う会議で行われており、今年も10月頃には改定が予定されています。

新聞でも載っておりますが、上げ幅も大きくなる見込みが予想されています。

最低賃金を支払うことは企業側の義務ではありますが、なかには「最低賃金額を知らなかった」や「いつ賃金改定を行えば分からない」等で違反しているケースもあります。

今回は、最低賃金に関する基礎知識と実務上の注意点について、お話しさせて頂きます。

まずはじめに、最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。

地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。愛知県の最低賃金は871円(平成29年10月1日改正)となっております。東京では、地域別では最高額で958円(平成29年10月1日改正)となっており、来年の10月には1,000円を超えてくることが予想されています。

特定最低賃金は、特定の産業について設定されている最低賃金です。関係労使の申出に基づき最低賃金審議会の調査審議を経て、同審議会が地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業について設定されています。全国で233件(平成29年4月1日現在)の最低賃金が定められています。この233件のうち、232件は各都道府県内の特定の産業について決定されており、1件は全国単位で決められています(全国非金属鉱業最低賃金)。愛知県では、自動車(新車)小売業や鉄鋼業などが特定産業とされています。

最低賃金は基本的にはパートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託、などの雇用形態や呼称の如何を問わず、すべての労働者に適用されますが、一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭める可能性が出てくるため、下記の(1)から(5)の者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められています。

(1) 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い方

(2) 試の使用期間中の方

(3) 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方

(4) 軽易な業務に従事する方

(5) 断続的労働に従事する方

また、近年増加している外国人労働者についても、最低賃金が適用されます。外国人技能実習生であっても、実態として使用者の指揮監督が認められ、労働者であると認められるならば、最低賃金の適用があります。

派遣労働者に関しては、派遣先の最低賃金が適用されますので、派遣元の使用者は、派遣先の事業場に適用される最低賃金を把握しておく必要があります。

次回のコラムでは最低賃金の計算方法について書きたいと思います。

計算する中で、最低賃金に含まれるものや、含まれないものなどがあるので、そのお話しをさせて頂こうと思います。

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