腰痛の労災認定基準
2025/08/26
労災認定には「業務遂行性」と「業務起因性」が認められる必要があります。
また、腰痛で労災申請をする場合も、業務と腰痛に因果関係があるのか慎重に判断する必要があります。
令和7年3月に、「腰痛の労災認定」のリーフレットが厚生労働省より公開されましたので、腰痛の労災認定要件についてご紹介します。
□認定要件について
認定基準では、「災害性の原因による腰痛」と「災害性の原因によらない腰痛」に分けて認定要件を定めており、それぞれの要件を満たす場合に労災補償の対象となります。
□災害性の原因による腰痛について
「災害性の原因による腰痛」とは、腰に受けた外傷によって生じる腰痛のほか、外傷はないが、突発的で急激な強い力が原因となって筋肉等が損傷して生じた腰痛を含みます。また、以下の要件を全て満たす必要があります。
- 腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること
- 腰に作用した力が腰痛を発症させ、または腰痛に既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること
具体例:
・重量物の運搬中に転倒した
・重量物を2人で担いで運搬する最中、そのうちの1人が滑って肩から荷を外した場合のように、突然の出来事により急激な強い力が腰にかかった
・荷物の重さが予想外に重かったり、逆に軽かったりして、突発的で急激な力が腰に異常に作用した
※一般的に、「ぎっくり腰」は、日常的な動作の中で生じるので、たとえ仕事中に発症してもただちに労災補償の対象とはなりません。ただし、発症時の動作や姿勢の異常性などから、労災補償の対象として認められることがあります。
□災害性の原因によらない腰痛について
「災害性の原因によらない腰痛」とは、日々の業務による腰部への負荷が徐々に作用して発症した腰痛をいい、その発症原因により、「筋肉等の疲労を原因とした腰痛」と「骨の変化を原因とした腰痛」に区分して判断されます。
○筋肉等の疲労を原因とした腰痛
比較的短期間(約3か月以上)従事したことによる筋肉等の疲労を原因として発症した腰痛は労災補償の対象となります。
具体例:
・約20kg以上の重量物または重量の異なる物品を繰り返し中腰の姿勢で取り扱う業務(港湾荷役など)
・毎日数時間程度、腰にとって極めて不自然な姿勢を保持して行う業務(配電工など)
・長時間立ち上がることができず、同一の姿勢を持続して行う業務(長距離トラックの運転業務など)
・腰に著しく大きな振動を受ける作業を継続して行う業務(車両系建設用機械の運転業務など)
○骨の変化を原因とした腰痛
次のような重量物を取り扱う業務に相当長期間(約10年以上)にわたり継続して従事したことによる骨の変化を原因として発症した腰痛は、労災補償の対象となります。
・約30kg以上の重量物を、労働時間の3分の1程度以上に及んで取り扱う業務
・約20kg以上の重量物を、労働時間の半分程度以上に及んで取り扱う業務
腰痛は、加齢による骨の変化によって発症することが多いため、骨の変化を原因とした腰痛が労災補償の対象と認められるには、その変化が「通常の加齢による骨の変化の程度を明らかに超える場合」に限られます。
□労災補償の対象となる治療の範囲
椎間板ヘルニアなどの既往症または基礎疾患のある労働者が、仕事により、その疾病が再発したり、重症化したりした場合は、その前の状態に回復させるための治療に限り労災補償の対象となります。
会社としても、従業員が腰痛を発症する要因を洗い出し、腰痛防止の取り組みを行っていくことが大切です。厚生労働省のホームページに参考資料が載っていますので、ご参照ください。
□参考
腰痛予防リーフレット(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/001400106.pdf
腰痛予防対策(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31158.html#check