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■返報性

      2016/02/21

先日、中部調査業協会主催のセミナーで大変興味深い話を聞きました。
それは、金城学院大学准教授北折充隆先生の「全世界共通の唯一の社会規範」といわれる「返報性」のお話です。

遡ること約30年前、「イランイラク戦争」の時代。
なかなか終わらない戦争に対し、日本では両国の名前をもじって「イライラ戦争」と呼ばれた。両国の都市爆撃の応酬が続く最中の1985年3月17日、48時間の猶予期限以降にイラン上空を飛ぶ航空機は、無差別に攻撃するとサッダーム・フセイン大統領が突如宣言した。

この宣言後、イランに住む日本人以外の外国人はおのおの自らの国の航空会社や軍の輸送機によって順次イランから脱出していった。ところが、日本においてはそうではなかった。ただちに日本航空にチャーター便の派遣を依頼したのだが、日本航空のパイロットと客室乗務員が組織する労働組合は、組合員の安全が保障されないことを理由にいずれもこの要請を拒絶した。その間、在イラン日本大使館では手を尽くして救援機を派遣した各国と交渉したものの、いずれの国も自国民救出に手一杯であり、希望者全てを乗せてもらうことは到底かなわず、いまだ200名を超えるイラン在留邦人が全く脱出方法が見つからずに生命の危機に瀕する状況にあった。

なお当時の自衛隊法は、自衛隊の外国における活動を人道目的を含めて想定しておらず、また、イランまでノンストップで飛行できる航空機が配備されていなかったため、自衛隊を派遣するのは事実上不可能だった。

だが、土壇場で個人的な親交に一縷の望みを託した野村豊在イラン日本国特命全権大使がイスメット・ビルセル在イラントルコ特命全権大使に救援を要請したところ、トルコ政府が応じ、トルコ航空の自国民救援のための最終便を2機に増やしてくれたので、215名の日本人がそれに分乗してイランを脱出した。タイムリミットの1時間15分前だった。

なお、トルコ機は近隣に位置することから陸路での脱出もできる自国民に優先して日本人の救出を計ってくれ、実際この救援機に乗れなかったトルコ人約500名は陸路自動車でイランを脱出した。このようなトルコ政府とトルコ航空の厚情の背景には、1890年(明治23年)日本に親善訪問した帰途、和歌山沖で遭難したフリゲートエルトゥールル号救助に際し日本から受けた恩義に報いるという意識もあったと言われている。

つまり、先生曰く「○○してもらったから、感謝で何かお返しをしなければならない」と思う心理。これがプラスの返報性。

逆に「○○されたから、復讐で何か仕返しをしなければならない」と思う心理。これがマイナスの返報性。

できることなら、プラスの返報性を繰り返す人生を心掛けたいですね。

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