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■法改正に観る労働行政の動向

      2016/02/21

3つの法律を取り上げます。
1.改正パートタイム労働法(平成26年4月23日公布。施行は1年以内)
2.有期雇用特別措置法(法案段階)
3.改正労働者派遣法(平成27年4月1日施行予定)

まず、1.について

同一労働同一賃金の判断要素を
(1) 業務の内容・責任
(2) 異動の有無・範囲
(3) 有期労働か否か

これを(1)と(2)だけにするという改正です。
これにより、正社員に異動がない会社では、いよいよ仕事の内容で差をもうけないと、
「同一労働同一賃金」の義務が発生することになります。
ただ、すぐに時間給から月額制にかえるということではなく、時間給の水準を正社員並にアップすることがまず求められます。160,000円の高校生と同じにするには、925円には設定する必要が生じます。

次に、2.について

平成25年4月1日から有期雇用を5年継続し、本人が希望した場合は、平成30年4月1日から有期雇用から無期雇用に転換させないといけない法律が施行されました。
これを60歳定年の高年齢者にあてはめると、平成30年4月1日時点の再雇用者である65歳が無期になる可能性があるということになります。
これはおかしいということで、高年齢者については、無期転換申込権の発生を心配することなく、有期労働契約を締結することが可能となる法律です。

最後に、3.について

派遣には、正社員だけ派遣する特定派遣と、非正社員を派遣する一般派遣があります。
特定派遣は国への届け出、一般派遣は国からの許可、でしたが、この区分をなくし、すべて国からの許可制となります。

また、労働者派遣法には2つの目的がありますが、
1) 派遣元企業において労働者個人が非正社員として固定化されない
2) 派遣先企業において労働者個人が正社員の代わりとして活用されない
これに対して、
1) についての改正点は、「派遣労働者個人単位の派遣期間の上限(3年)設定」
2) についての改正点は、「派遣先企業の事業所単位の期間制限の上限(3年、ただし一定の場合延長可)設定」です。
さらに、派遣元企業が労働者を無期雇用にした場合は、派遣期間の上限が設定されないことになります。※現行法では、専門26業務だけは上限がありませんでした。

つまり、派遣元企業が派遣労働者を期間の定めのない雇用にして使用すれば、派遣先企業は派遣期間を心配することなく利用できるということです。

これらの改正法・改正法案からみえてくることは、

自立して食べていける国民をなるべく多く創出するということです。
日本の人口1億2千万人のうち、15歳から64歳までの生産年齢人口は、約6千万人(外国人の定住者を除く)です。そのうちの非正社員は、2千万人と3分の1です。その人たちの平均年収は300万円に達していません。新規大卒でも年収は、初年度で到達可能です。

今、日本は、家庭を持てない国、子供を持てない国へと一歩一歩進んでいます。これに歯止めをかける法律の動きということです。

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