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高額療養費制度の改正

      2026/03/23

高額療養費制度は病気やケガなどで医療費が高額になった際、医療機関の窓口で支払う1カ月の自己負担額を一定の上限額までに抑えてくれる公的制度です。例えば、50代で年収500万円の人が入院や手術で医療費が100万円かかった場合、3割負担の30万円を支払うということではなく、高額療養費制度により自己負担上限額が30万円から軽減されます。

 

この自己負担上限額は70歳未満か否か、個人や世帯の所得に応じて区分分けがされています。先ほどの例ですと標準報酬月額が410千円(賞与無しと仮定)であることから、以下の式によって実際の窓口での支払額は87,430円となります。本来かかる額との差額は公的医療保険の財政で賄われます。

 

◆50代で年収500万円の人が手術で100万円かかった場合◆
【被保険者の所得区分:28万円~50万円】

80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円

 

これは誰もが利用する可能性のある重要な制度です。しかしながら近年、高齢社会の進展や医療技術の高度化により、医療費が膨れ上がり、公的医療保険の財政を圧迫しています。将来世代の保険料負担額が増えることを懸念し、現制度を持続可能な形で維持する目的で自己負担上限額が見直されることとなりました。

 

今回の見直しは2段階で行われます。まず1回目の見直しは2026年8月。所得区分にかかわらず、全員の自己負担上限額が4~7%引き上げられます。その次、2回目の見直しは来年8月。現在の非課税世帯を除く4つの区分分けが12区分に細分化されます。現在の4区分ですと所得が少し増えるだけで自己負担上限額が跳ね上がってしまいますが、12区分に細分化することで自己負担上限額の増減を緩やかにします。

 

また、高額療養費制度には長期療養の方への配慮として多数該当があります。過去12か月で3回以上上限に達した場合、4回目以降の自己負担限度額がさらに引き下げられる「多数回該当」の仕組みは、引き続き維持されます。

 

高額療養費制度は窓口で一旦3割負担で支払い、後から高額療養費として差額の払い戻しを受ける制度です。払い戻しを受けるとはいえ、一時的には高額な出費となります。これを避ける為にあらかじめ入院や手術が予定されている場合、「限度額適用認定証」を取得しておき、窓口へ提示することで3割負担ではなく、自己負担限度額のみの支払いにすることが可能となります。マイナ保険証を使用する際も高額療養費の申請は不要なため、自己負担上限額だけの支払いで済ませることができます。

 

改正後の所得区分に応じた自己負担限度額など制度の見直しにつきましては、以下のURLをご参照ください。

 

◆厚生労働省

高額療養費制度の見直しについて

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001393881.pdf

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