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給与のデジタル払いについて

   

新年明けましておめでとうございます。今年も皆さまにとって幸の多い年になりますことをお祈り申し上げます。まずは今年以降の法改正スケジュールです。

 

2023年4月施行

・月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率の引上げ(中小企業)

・大企業(常時労働者数1000人超)の育児休業取得状況の公表の義務化

・給与のデジタル払いの解禁

2024年4月施行

・建設事業、自動車運転の業務及び医師の労働時間の上限規制適用

2024年10月施行

・短時間労働者の社会保険の適用拡大(51人以上)

2025年4月施行

・高年齢雇用継続給付の引下げ

 

給与のデジタル払いについて考察します。

デジタル払いの解禁により、使用者が、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払ができることとされました。簡単に言うと、金融機関口座を経由せず雇用主が従業員の同意の下、スマホ決済アプリアカウントへ直接送金する方法もOKにするという方式です。私もPayPayやその他の決済アプリを利用しています。コンビニでご飯が買えるようある程度の額を不定期にチャージしておくのが主な利用方法です。こちらの残額に給与額が振り込まれるということですね。カードの支払いや銀行口座から保険料の引き落としを考えると現状PayPayだけに縛られたくないので、全額振り込まれるのは都合が悪いです。

 

利便性を考えたら一定額は銀行口座に、一定額は決済アプリに振込みをお願いしたいですが、給与計算事務の煩雑さも知っている立場で言うと、労働者が複数の振込先を指定してくるのはお断り願いたいところです。何千人も雇用されている大企業であると、現金、銀行口座番号、決済アプリのキー情報、さらにそれらが複数の指定となってきたら管理が大変です。

 

メリットを考えると、

◇雇用の拡大に有益

外国人労働者などは金融機関で口座を開設するのが難しいという事情があるため、外国人労働者の採用を積極的に進めたい企業にとっては、デジタル払いの導入によって求人上有益となりそうです。またはわざわざ振込先口座まで確認するほどの雇用期間ではないような日雇いアルバイト等には現金手渡しにおける盗難等のリスクを踏まえて、決済アプリへの送金という選択肢が生まれるかもしれません。

 

◇振込手数料の削減

スマホ決済アプリなどの資金移動業者のアカウントへの送金は、金融機関口座への振込に比べて送金手数料がかからない場合が多いため、一時的には振込手数料について削減が期待できるかもしれません。

 

◇先進的なイメージ

新しい制度を導入していることにより企業イメージの向上が図れるかもしれません。

 

これらを踏まえて、外国人等多様な雇用をすすめていきたい企業や従業員数において管理や事務作業が煩雑になり過ぎない規模の企業にとっては有益な選択肢であると考えます。また一方で、資金移動業者の資金保全や不正アクセスといった懸念事項もありますので、まずは労働者のニーズを調査したうえで、制度を採用するのであれば会社が指定する資金移動業者の利用すること等ルール作りが大切です。

 

厚生労働省HP(賃金のデジタル払いについて)

※今後に掲載予定のものが散見されるため、ある程度情報が揃った後に検討しましょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03_00028.html

 

 

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