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外国人の雇用について

   

我が国には多くの外国人が働いていますが、厚生労働省の統計によると、2020年10月時点の日本で就労している外国人労働者数は、約172万人であり、新型コロナウイルス感染症の影響で増加数が鈍化しているというものの、2013年から8年連続して増加傾向にあります。

国籍別にみてみると、ベトナムが44.4万人と一番多く、続いて中国41.9万人、フィリピン18.5万人、ブラジル13.1万人、ネパール10万人の順になっています。

産業別には、製造業48.2万人、サービス業27.7万人、卸売業,小売業23.2万人、宿泊業,飲食サービス業20.3万人、建設業11.1万人の順になっています。

また、事業所規模別には、事業所労働者数が30人未満となる事業所が一番多く、人手不足による外国人労働者に対する雇用の需要度の高さが伺われます。

外国人が日本に住むには、在留資格が必要です。在留資格は入管法(正式には出入国管理及び難民認定法)に定められている資格であり、目的によって分類されており、大きく分類すると、次の4つの分類に分けられます。

 

➀就労が認められる資格

〇外交〇公用〇教授〇芸術〇宗教〇報道〇高度専門職〇経営、管理〇法律、会計〇医療〇研究〇教育〇技術、人文知識、国際業務〇企業内転勤〇介護〇興行〇技能〇特定技能1号、2号〇技能実習1号、2号

②原則、就労が認められないもの(就労について制限のあるもの)

〇文化活動〇短期滞在〇留学〇研修〇家族滞在(在留外国人が扶養する配偶者・子)

➂個々の特定内容によるもの

特定活動(例:ワーキングホリデー)

④就労等活動に制限のないもの

〇永住者〇日本人の配偶者等〇永住者の配偶者等〇定住者

②の就労が認められないもの(就労について制限のあるもの)については、原則、働くことができないのですが、「資格外活動の許可申請書」を地方入国管理局に提出して、「資格外活動許可書」を取得することによって、働くことができます。ただし、その場合、本来の目的である在留資格による活動を妨げない範囲で働く必要があります。

例えば、留学生の場合、原則は就労することはできませんが、「資格外活動許可」を取得することによってアルバイトをすることができます。ただし、時間の上限があり、学校のある時期は週28時間以内の限度でしか働くことはできません。夏休みなどは1日8時間までは働くことができます。この取り扱いは、大学、大学院、短大、専門学校、日本語学校のすべてに共通です。また、従事する仕事の内容は、留学生の身分にふさわしいものに限ります(法令や公序良俗に反しないもの)。

 

  • 外国人を雇用する場合の企業としての留意点

1・就労の可否の確認

外国人を雇い入れる際には、事業主は、その外国人が適法に在留し就労できる者であるかを在留カード・パスポート・入国査証・外国人登録証明書・在留資格認定証明書・就労資格証明書・資格外活動許可書等によって、次の事項を確認する必要があります。

➀入国要件を備えているか・・有効なパスポートを持っているか・入国査証(ビザ)を受けているか②就労資格を得ているか・・留学生・就学生は資格外活動許可書を持っているか➂在留期間を超えていないか等、採用する時点で、しっかりと確認する必要があります。

 

2・労働基準法等の適用

合法的に就労活動が認められている外国人労働者については、日本の労働関係法規のほとんどが適用されます。労働基準法・雇用保険法・最低賃金法・労働安全衛生法・労働者災害補償法等、日本の労働関係法規は、国籍等に関係なく日本国内で労働するものを対象とする属地主義をとっているからです。したがって労働基準法の「労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならない」という規定に基づき次のようなことは禁止されています。

➀外国人であることを理由に賃金形態、昇給基準等で差別的な取扱いをすること
②外国人のみに適用される就業規則を作成し、日本人労働者と異なる労働条件を規定すること
➂外国人労働者に就業規則を適用しないこと

 

3・その他の留意点

➀外国人労働者は言葉の誤解もあるため、あいまいな指揮命令を避け、明確な指示をすることが必要です。                                                                ②重要な内容の合意を求めるときは、口頭ではなく文書等に記録しておくのが後々のトラブル防止のために望ましいと思います。                                      ➂日本人の常識が当たり前のように外国人にとっても通じるわけではないことを認識しておく必要があります。

 

  • 不法就労に関する問題点等

近年、不法就労者は増加傾向にあり、2021年1月時点では8万2868人となり、大きな問題となっています。不法就労が発覚した場合、原則として本人が帰国費用を負担して、本国に強制退去させられ、さらに裁判で有罪が確定したときは懲役や罰金が課せられます。
また、企業が、このような外国人を不法就労と知りつつ雇用した場合や斡旋した場合に対しても「不法就労助長罪」が適用されることになります。罰則は3年以下の懲役又は200万円以下の罰金です。不法就労者であることを知らずに雇用した場合には処罰されることはありませんが、採用する時点で、就労の可否について旅券等を何も確認せずに決めたような場合には、企業にも過失があると認められ、処罰の対象となりますので、十分注意をする必要があるでしょう。

 

 

 

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