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2022年法改正紹介

   

2022年も各分野での法改正が予定されており、人事労務にまつわる実務においても影響があるものが多そうです。主だった内容をご紹介いたします。

 

■雇用保険法分野の改正

○高年齢被保険者の特例(2022年4月1日施行)

・65歳以上の労働者を対象に、本人の申出に基づき、2つの事業所の労働時間を合算して「週の所定労働時間が20時間以上である」ことを基準として雇用保険を適用する制度が施行されることになりました。

(対象者となる要件)

1.2以上の事業主の適用事業に雇用される 65 歳以上の者

2.1のそれぞれ一つの事業主の適用事業における1週間の所定労働時間が20時間未満

3.1のうち2の事業主の適用事業における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上

 

■年金分野の改正

〇在職定時改定(2022年4月1日施行)

・在職中の老齢厚生年金受給者(65歳以上)の年金額を毎年1回定時にそこまで働いた期間と標準報酬月額を加えて、改定することとなります。 また60 歳から 64 歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止とならない範囲が拡大されます(支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を、現行28万円から47万円に引き上げ)

 

〇受給開始時期の選択肢の拡大 (2022年4月1日施行)

・現在60歳~70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢(いわゆる年金の繰り上げ、繰り下げ請求)について、受給開始時期の上限が70歳から75歳に引き上げられます。(増減幅について現行の30%減~42%増が、改定後24%減~84%増となる。※繰り上げの際の減額率が0.5%減/月→0.4%減/月に改定)

 

■健康保険法、厚生年金保険法分野の改正

以下は以前にも一部ご紹介した健康保険法等の改正です。

○傷病手当金の支給期間の通算化(2022年1月1日施行)

・傷病手当金について、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その分の期間を延長して支給を受けられるよう、支給期間の通算化されます。現行は、「支給を始めた日から起算して1年6か月を超えない期間支給する」取扱いです。これが法改正により病気治療中に休職と復職を繰り返すような場合においても、不支給となった期間が延長されて通算1年6か月間受給できるようになり、より手厚い制度への改正と言えます。

 

○育児休業中の保険料の免除要件の見直し(2022年10 月1日施行)

・短期の育児休業の取得に対応して、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の保険料を免除するとともに、賞与に係る保険料については1月を超える育児休業を取得している場合に限り、免除の対象とすることとなります。 現行の制度では、「育児休業等を開始した日の属する月から終了する日の翌日が属する月の前月までの期間を免除」されますが、月末時点で育児休業を取得している場合に、その月の社会保険料が免除される仕組みになっています。もし月末に1日だけ育児休業を取得した場合であっても、その月の社会保険料が免除されることとなっており、この制度上、短期間の育児休業の取得時に何日の休業をしたかは関係なく、月の末日時点で休業しているか否か(月末をまたぐか否か)によって、社会保険料が免除されるか否かが決まるという不公平が生じやすいルールでした。

改正後の具体的な取り扱いは次のとおりです。

 

1.育児休業等を開始した日の属する月と終了する日の翌日が属する月とが異なる場合

→ 開始日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月までの月の保険料を免除

2.育児休業等を開始した日の属する月と終了する日の翌日が属する月とが同一であり、

かつ、当該月における育児休業等の日数として厚生労働省令で定めるところにより計算

した日数が 14 日以上である場合

→ 当該月の保険料を免除

3.保険料の免除要件を上記 2つの区分とした上で、 育児休業等の期間が1月以下である

場合は、標準報酬月額に係る保険料に限り免除の対象とする(賞与に係る保険料は徴収される)。

 

給与計算等の実作業に係わる改正となっておりますので、改正内容を早めに把握しておきましょう。

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