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情報通信機器を用いた医師による面接指導の実施について

   

情報通信機器を用いた労働安全衛生法の規定に基づく医師による面接指導に関する通達(平成27年9月15日 基発0915第5号)が改正されました。(令和2年11月19日)

新型コロナウィルス感染症の拡大により、院内感染を含む感染症防止のため、情報通信機器を用いて面接指導を行うニーズが高まっていることが背景にあります。

 

医師による面接指導は過重労働者や高ストレス者に求められ、具体的には以下のような場合に必要です。

・時間外・休日労働の時間が月80時間を超える労働者から申し出があった場合

・新商品等開発業務に従事する労働者(時間外労働の限度時間の適用除外となる者)であって、時間外・休日労働の時間が月100時間を超える者

・高度プロフェッショナル制度で勤務する労働者であって、「健康管理時間」が月100時間を超える者

・ストレスチェックにて高ストレス者であり、本人が希望した場合

 

情報通信機器を用いた面接指導には以下のような内容が求められますのでご留意ください。

 

(1)面接指導を実施する医師は以下のいずれかの場合に該当することが望ましいこと。

1.面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医である場合

2.面接指導を実施する医師が、契約(雇用契約を含む)により、少なくとも過去1年以上の期間にわたって、対象労働者が所属する事業場の労働者の日常的な健康管理に関する業務を担当している場合。

3.面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場を巡視したことがある場合。

4.面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、当該労働者に指導等を実施したことがある場合。

 

(2) 面接指導に用いる情報通信機器が、以下の全ての要件を満たすこと。

1.面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること。

2.情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること。

3.労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なものでなく、容易に利用できること。

 

(3) 情報通信機器を用いた面接指導の実施方法等について、以下のいずれの要件も満たすこと。

1.情報通信機器を用いた面接指導の実施方法について、衛生委員会等で調査審議を行った上で、事前に労働者に周知していること。

2.情報通信機器を用いて実施する場合は、面接指導の内容が第三者に知られることがないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮していること。

 

(4) 情報通信機器を用いた面接指導において、医師が緊急に対応すべき徴候等を把握した場合に、労働者が面接指導を受けている事業場その他の場所の近隣の医師等と連携して対応したり、その事業場にいる産業保健スタッフが対応する等の緊急時対応体制が整備されていること。

 

労働者の心身の状況は、その表情や細かなしぐさ、声色といった様々な情報から把握することになります。情報通信機器を用いたことにより、その情報が得られなかったり、面接後に採るべき対応ができないようなことが無いように注意をする必要がありそうです。

ご理解のうえ、感染症防止や迅速な面接指導の実施、適切な労働者の健康管理のためにご検討ください。

 

○情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について(令和2年11月19日基発1 1 1 9 第2号)

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T201124K0010.pdf

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