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なぜ巨人はソフトバンクホークスに勝てないのか?

      2020/11/30

セリーグを後半失速したものの断トツといえる成績で制覇した巨人が、昨年同様、1勝もできずに日本シリーズを敗退しました。

投手、野手の成績を比較してもどこにこの力の差があるのでしょうか?

巨人の野手では、坂本選手は、プロ野球史上53人目となる2000本安打を達成しました。岡本選手は、本塁打、打点の2冠を獲得しました。巨人の投手では、菅野選手は両リーグ通じてトップの14勝を上げました。

巨人の原監督にいたっては、巨人史上最高の勝ち星1067勝であの日本シリーズ9連覇を達成した川上哲治氏の記録を抜きました。

今度こそ、日本シリーズにふさわしい好ゲームを期待しました。

しかし、この結果です。

パリーグのクライマックスシリーズのロッテ戦の方が手に汗握るシーンがたくさんありました。

なぜなのか?それを解明してくれる記事を見つけました。11月27日の日経産業新聞の「孫流経営、独立採算を徹底」です。以下にご紹介します。

まず挙げられるのが、福岡ペイペイドームから60キロほど南にあるタマスタ筑波。2、3軍用の練習施設は2つの球場と寮に、IT(情報技術)をふんだんに取り入れたことで知られています。5秒遅れでプレー映像を再生する仕組みや、センサーで選手の動作を分析するシステムが整備され、2016年に完成したタマスタの総工費は約50億円です。

次に、3軍制を導入した2010年に育成枠から巣立った選手の存在が挙げられます。今回第1戦に先発した投手の千賀選手、捕手の甲斐選手、中継ぎのモイネロ選手等「育成のホークス」を象徴しています。巨人もそれを真似て松原選手、増田選手、田中選手等輩出しましたが、日本シリーズに出場したのは、松原選手だけでした。

そして、注目されるのが、平均年俸の高さです。日本プロ野球選手会によると2020年度の球団別平均年俸(外国人選手を除く)でホークスは7131万円でトップ。2位の巨人(6107万円)を引き離しています。

これを可能にしているのが、「本質的利益」という数字です。「営業利益」-「年俸総額」-「内部取引」=「本質的利益」、この本質的利益をあえて増やそうとせず「赤字にならなければいい」とう考え方が高額の年俸に寄与しています。換言すれば、「営業利益」を確保するため親会社に頼らない独立経営の考え方があり、それを親会社の財務部門出身者が支えている構図です。「前例踏襲禁止」で球界の過去のやり方をかえて関連事業を運営していき、親会社からの内部取引の分を除いた「真水の利益」も黒字を確保しているのです。

最後には、目指すべき方向性です。孫氏は、10連覇の次には、米メジャーリーグとの世界一決定戦をすでに打診しています。現実的には、なしのつぶてらしいですが、「メジャーが無視できないほど強くする」と意気込んでいるそうです。巨人が日本シリーズでのソフトバンクホークスの打倒を掲げているのとは、大きな差を感じます。

いかがでしょうか。表題の回答には、現場を支えるホークス流の球団経営に大きな要因がありそうです。選手の技術や体力、監督・コーチの戦術だけでは勝てない球団経営の在り方が問われているようです。

それを盗んでいかないとセリーグ全球団の存亡が問われかねないと思います。

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