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雇用保険の活用について

   

新型コロナウィルス感染症関連の助成金として「雇用調整助成金」と、今回新設された「小学校休業等対応助成金」がメディアでも大きく取り上げられ、人事総務担当者の方々は特に、対応に追われていることと思います。

もともと助成金申請書類は、1名分だけでも添付資料を合わせると1cm厚くらいになるほどで、意外と手間のかかるものではあります。もちろん、日頃からきちんと社内規則整備や契約書等の書面管理をしているのが前提なので、ファイルから抜き出してコピーをすればよいことなのですが…

今回の「雇用調整助成金」も、当初はかなりの書類提出が必要でしたが、徐々に簡素化され、申請書類作成は格段に楽になりました。それでも従業員数が何百人、何千人規模の大企業の人事総務担当者の方々は、本当に大変だと思います。

当社でも問い合わせ殺到が始まった3月、早々に発表された小学生や保育園児等を養育される労働者を対象とした「小学校休業等対応助成金」と比べ、妊婦に対する補償は今度どうなっていくのかという疑問が浮上していました。

母性健康管理措置については、5月7日の男女雇用機会均等法の指針改正で、新型コロナウィルス感染症に関して働く妊婦が医師から指導を受け、休みや在宅勤務を希望した場合は、それに応じるよう事業主に義務付けられたのですが、その他は特に進展がなく、もうこれ以上はないものと諦めていました。先週末になって、ようやく妊婦に対する休業中の収入補償の話が出てきましたね。

情報コラム投稿現在、未確定な情報ですが、妊婦が新型コロナウィルス感染症に関して休業する場合、有給の特別休暇を与え、通常の年次有給休暇取得時に支払う賃金の6割以上を支払うことが条件で、休暇日が5日以上20日未満で25万円、以降20日ごとに15万円加算され、上限は100万円。対象は1事業所で20人までになるようです。最大で2,000万円が助成されることになりそうです。

すでに「雇用調整助成金」対象者として申請している場合や、有給の特別休暇付与以外の細かな要件などは、国からの公表を追って情報収集していきます。

このような助成金、実は雇用保険の「雇用保険二事業」の中の“雇用安定事業”で成り立っています。雇用保険料は、労働者よりも事業主負担の方が多いことはよく知られていますが、内訳は“労働者負担分=事業主負担の一部”と事業主のみ負担するこの“雇用保険二事業”分で構成されています。

ちょうど4月1日施行で、これまでこの「雇用保険二事業」と二本柱と言われていた「失業等給付」から、「育児休業給付」が独立し、三本柱での構成に変わりました。

背景としては、女性の育児休業者が増え、国としても男性の育児休業も進めている昨今、もし今後景気状況が悪化した際に、失業者が増えて「求職者給付」が増大すると、同じお財布である「雇用継続給付」の一部であった「育児休業給付」の財政状況も悪化し、育児休業継続給付に影響が出ることを懸念してのことです。嫌なことに、まさに現状がそうですね。

雇用保険の加入要件は、週20時間以上勤務する労働者が対象です。小規模企業では、要件を満たす労働者が居ないために、雇用保険適用事業所ではない企業もまだまだ多いです。

確かに労使双方での保険料負担は発生しますが、事業主は助成金を活用して労働環境を整え、労働者は育児休業、介護休業そして教育訓練等々、働きながら受けられる給付金を活用してスキルアップを図り、仕事に生かす…そういった活用方法がある保険です。今後はより働きやすい会社を築くために“雇用保険設置”を検討されてはいかがでしょうか。

既に雇用保険適用事業所であれば、今回を機に、その他のさまざまな助成金を検討されてはいかがでしょうか。新型コロナウィルス感染症での書類簡素化のようにはいきませんが、就業規則等の見直しから始めて、社内書類の整備を行い、よりよい雇用維持が図れるお手伝いを当社もぜひさせていただきたいです。

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