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パクス・アメリカーナからパクス・シニカの時代

   

米国による世界秩序の維持、パクス・アメリカーナから、中国による世界の平和維持を目指す構想=一帯一路構想であるパクス・シニカに世界は移ろうとしているという、2020年5月24日の「パクス・シニカ」の誘いという日本経済新聞の記事を読みました。

コロナ対策の名目で、ロシアもイランも中国技術の「監視システム」の導入を進め、強権体制を中国のデジタルインフラが支える流れが加速した、とあります。

さらに、ロシア政府筋は、「将来、内政で深刻な試練に直面した場合、政権の生き残り策は中国に保護を求めること」と言い切っているそうです。

駒沢大学教授三船恵美氏は、一帯一路構想を次のように説明しています。

中国が、各国や各組織(たとえば欧州連合)などと、

1 政策面で意思の疎通をはかり、

2 中国と同じ規格のインフラを整備し、

3 貿易を円滑に振興し、

4 資金を融通し、

5 国民を相互に結びつけることによって、世界の政治経済秩序を中国が主導する。

地球全体に影響を及ぼし「朋友圏」(友邦圏)を形成し、「人類運命共同体」として、中国が主導していくことを目指しているそうです。

現に、中国は影響力拡大のために地政学を見据えた戦略である、中国と中欧、東欧の16の国々が構成する国際的枠組み、「中国・中東欧諸国首脳会議」(16+1)を構築しました。

他方、南アジアにおいては、インドを超大国にさせないために、ミャンマーやバングラデシュを従順化させ、ブータンの高原ドクラムに中国人民解放軍の駐屯地を建設し、1600人とも1800人とも言われる軍人を駐留させていると指摘しています。この動きに対しては、日本も米国と「インド・太平洋戦略」を提唱し、対抗しています。

また、北極海へは、プーチン大統領をパートナーとする「氷のシルクロード構想」を発表し、日本海、津軽海峡、宗谷海峡への拠点づくりを模索しているとのことです。

このように、世界は、「民主陣営」と「強権陣営」とう米中新冷戦の構図が明確になってきました。その中で、日本は、存在感ある立場で「民主陣営」としてのリーダーシップをとることができるのでしょうか?

コロナ感染の爆発を回避したようにみえる日本は、欧米から「ミステリー」と呼ばれているそうですが、政治家任せにするのではなく、日本人全員が中国の脅威に向き合っていかなければ、「属国化」してしまうかもしれません。そのためにも、韓国・台湾との関係は重要になってくると思います。白人は白人、黒人は黒人、黄色人は黄色人というのが、最後の頼みの綱になるような気がするのは、すこし視野が狭すぎるでしょうか。

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