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退職時の社会保険料の取扱いには注意が必要です。

   

早いもので、7月となり、いよいよ夏の到来ですね。朝晩の温度差の体調管理や、熱中症にはくれぐれも注意して下さい。

さて、今回は従業員が退職した場合の社会保険料の控除の取扱いについてです。退職後に間違っていることが分かってからでは、いろいろと支障もあり、事務手続にも余分な労力を使うことになりますので、退職時の給与計算は特に注意をする必要があります。

社会保険では毎月の保険料について前月分の保険料を給与から控除することになっていますので、正しい控除の仕方は翌月控除です。しかし、実際には当月控除で行っている会社もあります。当月控除と翌月控除の違いを明確にして正しいやり方をする必要があります。

1・退職日による保険料控除の違い

月末に退職した場合と月末以外に退職した場合では社会保険料の控除は異なります。社会保険料は原則として、その資格を喪失した日の属する月の前月までかかることになっています。資格を喪失した日というのは退職日の翌日のことです。資格喪失日の属する月の社会保険料は徴収されませんので、月末退職の場合はその月の社会保険料は控除しなければいけませんが、月末以外の退職の場合はその月の社会保険料は控除してはいけません。

2・月末退職の場合の保険料の徴収

社会保険料の徴収は原則として前月分に限られていますが、月末退職の場合に限り、退職者に支給する給料から社会保険料を2か月分徴収することができます。

例えば、月末締め当月末払いの会社の場合で、7月31日に退職した場合、7月分までの保険料を控除しなければいけませんが、翌月徴収の8月には従業員は退職しているため、徴収することができません。そのため、7月の最後の給料で6月分と7月分の2か月分を徴収することができます。

3・休職したまま退職した場合の保険料

休職中でも社会保険料は徴収しなければいけません。給与の支払いがない場合は本人より会社に振り込んでもらうなどして徴収する必要があります。

4・傷病手当金からの社会保険料の控除

休職している社員に給与の支払いがなく、傷病手当金をもらっている場合、傷病手当金から社会保険料を控除できないかという問いがありますが、原則、傷病手当金から社会保険料を控除することはできません。健康保険法167条1項の条文では、社会保険料は前月の報酬から控除できる旨が記載されています。傷病手当金は報酬ではないので、社会保険料を控除することは認められていないからです。

5・賞与支給月に退職した場合の社会保険料

上記で述べたとおり、社会保険料は資格喪失日の属する月の前月まで徴収しますので、賞与においても給与と同様に月末退職の場合と月末以外の退職の場合では、控除のしかたが違いますので、注意が必要です。

月末退職→賞与から社会保険料を控除します。                        月末以外の退職→賞与から社会保険料は控除してはいけません。

以上のように、従業員が退職した場合の社会保険料の取扱いについては、締めや支払いの関係、当月控除と翌月控除の違い、退職日による違いなど、いろいろと複雑でありますので、給与計算をする際は、会社の給与規程を明確に把握して、正しく行う必要があります。

 

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