ストレスチェックの義務化
労働安全衛生法の改正により、50人未満の事業場についてもストレスチェックの実施が義務化となります。
ただし、一定の負担の増加がありますので、施行まで十分な準備期間を確保するとされています。まだ、具体的な施行時期は決まっていません。
ストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげることによって、労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止することを主な目的としたものです。厚生労働省の労働者健康状況調査によると、実に職場で強いストレスを感じている労働者の割合は全体の8割になります。この数字からも、職場ストレスが現代社会における深刻な問題であることが分かります。
伴って、平成27年より、労働者が50人以上いる事業場については、年1回、ストレスチェックの実施が既に義務化されています。
人数の数え方は、週1日しか出勤しない場合であっても継続して雇用していれば人数にはカウントし、50人超えているかどうか判断します。
ストレスチェック実施義務のある労働者は、契約期間が1年以上の者、1年以上使用予定の労働者、1年以上引き続き使用されている労働者で、かつ、週の所定労働時間が通常労働者の4分の3以上ある者とされています。
週の所定労働時間が2分の1以上である者は、実施することが望ましいとされています。
ストレスチェックを実施した時は、管轄の労働基準監督署への報告義務があります。現時点では50人未満の事業場は実施の義務はありませんので、仮に実施した場合も報告の義務はありません。もちろん、自主的に報告した場合も問題なく受付してくれると思います。
特に提出期限はありませんが、正当な理由なく報告書を提出しない、虚偽の内容を報告した場合は50万円以下の罰金が科される可能性がありますので、忘れず報告しましょう。
なお、2025年よりストレスチェックの報告(心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告)は、電子申請での届出が義務化されています。
ストレスチェックは実施して終わりではありません。
報告書の提出を行うことや産業医の面談等の実施もありますが、実施結果の集団分析を適切に行い、働きやすい職場環境づくりに生かすことが本来の目的にかなう動きです。
■労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/001449334.pdf