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東芝総合人材開発事件(東京高判令元.10.2)

      2020/07/16

元従業員(以下「X」とする):Y社と同じ企業グループに属するT社に入社(Y社の事業内容:企業内教育研修の企画、立案、コンサルティング等を目的とする)。その後、平成18年1月Y社に転籍した。

Xは、平成26年10月に、会社を批判したメールを顧客に送信したため、Y社は反省文の提出など改善を促したが、同じ批判を繰り返したことから、平成27年11月末日付けで解雇した事案。

メールの内容は、①前期報告会について、担当から変わり余計なことをしてくれたと言われたため、今後は一切対応しない ②訓練生の職場環境見学の理由、説明、報告もなく取りやめとなった ことなど会社を批判する内容であった。

Xは、解雇は無効であり、解雇前に単純作業に従事させるなどした会社の対応はいじめなどと主張した。

Xは労働契約上の地位の確認と、バックパイ等を求めて提訴したが、一審判決は請求を棄却した。その控訴審である。

 

【判決のポイント】

(1)問題行動を起こしたXへの対応

Xに、組織として業務命令順守義務を体得する業務上の必要性があった。十分な反省等がみられるまで、外部との接触がない業務につかせることは、やむを得ないものである。このことをパワハラに該当と評価することはできない。

(2)反省文等の提出について

反省文には「上に立つ方の力量のなさとしかいえない・・・。」など、Xの意見や不満の記載があり、将来的に組織規律を乱しかねないというリスクを抱えた人物と評価せざる得ず、(1)のような従前の業務に復帰させなかったことはやむを得ないものである。

(3)解雇の有効性

Y社は、メール送信行為自体で、直ちに解雇に踏み切った訳ではない。Y社はけん責、出勤停止処分を行い、反省と改善の機会を十分に与えていた。しかし、その後も改善がみられず、解雇に踏み切ったもので、解雇としては有効である。

【SPCの見解】

解雇は、「客観的合理的理由と社会通念上の相当が認められなければ、解雇無効となる。」とする大原則がある。

今回の事案も、Xの批判メール自体をもって解雇した訳ではなく、2度の懲戒を先に行っている。しかし、その後の改善が見られず、解雇に及んでいる。使用者としては、労働契約の継続が期待しがたい事情が認められるものでる。

反対に、労働契約の継続を期待し難い事情が認められなければ、解雇の法的効力が否定される場合が多い。

また、本件は改善が見られない場合における解雇の有効性と判事したものであるが、メール送信をもっての即日解雇ではどうなっていたかが不明である。

 

平成26年20月の批判メールの送信から、平成27年11月の解雇まで1年以上の月日を擁している。

時間がかかりすぎていると考えもありますが、解雇無効となった場合に、バックペイの支払いや従業員として復帰することを鑑みれば、慎重かつ問題社員の改善を行っていく事も必要となります。

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