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■ブラック企業と言われないためには

      2016/02/21

先日、転職活動中の友人から「~ような業界はブラック企業が多い?」と相談されました。その時私は彼の知りたい情報が容易に想像できました。

会社が労使の間でトラブルになりやすい事項や各種法令に則った制度の整備や手続き等会社が対応しないことで企業イメージを損ねる事項は多々あります。しかし、世間一般における労働者や友人を含めた求職者が持っているブラック企業という言葉のイメージは午前様の帰宅が当然のような長時間労働を強いて、さらには給与が正しく支給されない会社という認識であると私は感じています。

平成25年9月以降、厚生労働省はいわゆるブラック企業を「若者の使い捨てが疑われる企業等」として、その監督・是正指導に力を入れてきました。その結果を同年12月に公表し、主な事例として以下を取り上げています。

1.長時間労働等により精神障害を発症したとする労災請求があった事業場で、その後も、月80時間を超える時間外労働が認められた事例
2.社員の7割に及ぶ係長職以上の者を管理監督者として取り扱い、割増賃金を支払っていなかった事例
3.営業成績等により、基本給を減額していた事例
4.月100時間を超える時間外労働が行われていたにもかかわらず、健康確保措置が講じられていなかった事例
5.無料電話相談を契機とする監督指導時に、36協定で定めた上限時間を超え、月100時間を超える時間外労働が行われていた事例
6.労働時間が適正に把握できておらず、また、算入すべき手当を算入せずに割増賃金の単価を低く設定していた事例
7.賃金が、約1年にわたる長期間支払われていなかったことについて指導したが、是正されない事例

これらをみても、やはり「長時間労働」とそれに付随する「賃金の支払い(未払い残業代等)」が厚生労働省の指導する優先順位が高いことが言えそうです。世間がブラック企業に持つイメージと大きな差はありません。

つまり、これらに対する対応がされていれば、ブラック企業というイメージまで持たれる可能性は低いと言えます。逆に会社施設が整い、パワハラ・セクハラが皆無な会社であってもこれらが該当してしまえばブラック企業と言われかねません。

ブラック企業というレッテルにおける企業のリスクは皆様がご想像するとおりです。
労務監査項目等でご案内したとおり、会社が守るべき項目は多いのですが、内在しているそれぞれのリスクの高さは一律ではありませんし、伴って対応すべき優先順位があります。

全てを解決していることは難しくても、この二つについては8割方問題なしと言えるような対応を日頃からしておきましょう。

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