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時間外労働の上限1ヶ月45時間はなぜ?

      2024/02/05

先日、訪問した先でこんな質問を頂きました。「36協定の1ヶ月の上限45時間ってなんで45時間なんだろうね。」

それを聞いた私は1ヶ月は45時間とただ思い込んでいただけで、何故なのかすぐにはお答えが出来ませんでした。

事務所に戻りいろいろと調べていくうちに、その時間数は、過労死の認定基準を根拠にしていることが分かりました。

医学的な見地から、睡眠時間が5時間以下になると、能・心臓疾患の罹患率が高くなることが言われています。過労死の認定基準となったのは、この睡眠時間と残業時間の関係からなのです。厚生労働省の報告書には、1日の時間外労働を2時間、4時間、5時間程度行う者は、それぞれの睡眠時間の平均が7.5時間、6時間、5時間と減少していく調査結果があります。この残業時間に平均勤務日数21.7日(※)を乗じて、概ね45時間、80時間、100時間を基準に定めているのだそうです。

※法定労働時間(年間)2085時間÷12ヶ月÷法定労働時間(1日)8時間=21.7

1日24時間のうち、労働時間を8時間、休憩を1時間とすると、差引いた残りの15時間で過ごす時間は以下のものが挙げられます。

15時間≒残業時間+睡眠時間+通勤時間+余暇活動時間(食事・風呂・身支度・趣味・自己啓発等々)

通勤時間は会社の近くに引っ越す等しない限り削れませんので、残業時間が増えると相対的に睡眠時間や余暇活動時間にしわ寄せがいきます。

 

2021年には労災認定の基準、いわゆる過労死ラインが見直されました。働き方改革が進められる中、長時間労働による健康被害問題が明らかになったことにより、20年ぶりに改定され、同年9月から運用されています。

見直しがなされた内容は次の4つのポイントになります。

  • 長期間の過重業務の評価にあたり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
  • 長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因の見直し
  • 業務と発症との関連性が強いと判断できる場合の明確化
  • 脳・心臓疾患の対象疾病に「重篤な心不全」を追加

特に②のポイントでは、次のような判断基準も示されています。

・休日のない連続勤務

連続労働日数や連続労働日と発症の近接性、休日数、実労働時間などの観点からの判断。

・勤務間インターバルが短い勤務

睡眠時間と心臓疾患の発症との関係について医学的知見などから、終業から始業までが11時間未満の勤務であるかどうかの判断。

・出張の多い業務、その他事業場外における移動を伴う業務

通常の勤務地を離れて行う業務、出張(特に4時間以上の時差のある海外出張)の頻度、移動時間中の状況、出張中の業務内容、出張による疲労の回復状況等も踏まえた評価。

・身体的負荷を伴う業務

業務量、業務内容、作業環境などを考慮し、職場の同僚たちにとっても特に過重な身体的精神的負荷と認められるか、客観的かつ総合的に判断。

 

過労死ラインの認定基準が労働時間ではなく、睡眠時間から決まったものであることを知る大変勉強になるご質問を頂きました。

睡眠時間だけでなく余暇活動時間も充実させる為には残業時間を如何に減らしていくか、業務の効率化を検討する良い機会となりました。

 

 

厚生労働省:脳・心臓疾患の労災認定基準 改正に関する4つのポイント

https://www.mhlw.go.jp/content/000833808.pdf

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