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インフレ手当について

   

物価高による情勢の中、インフレ手当を支給する企業が増えてきています。

4社に1社がインフレ手当に取り組んでいると言われています。

今、注目されているインフレ手当を導入する際のポイントと注意点をまとめました。

支給方法

一時金又は月額手当の支払い方法があります。

社会保険料の算定対象なのか

インフレ手当は「臨時的に受けるもの」又は「労働の対償ではない」として社会保険料の算定対象とならないという意見が散見されます。しかし、インフレ手当は被保険者の通常の生計にあてられるものとして、社会保険料の算定対象となる報酬に含めるべきものとして考えた方が妥当です。

また、一時金で支給する場合には賞与支払届の提出が必要となります。

労働保険料の算定対象なのか

就業規則にインフレ手当の定めがない場合は、臨時に支払われる賃金であり、労働の対償として支払われたものではないので、雇用保険を引かなくてもよい。という見解を愛知県の労働局から聞きました。

就業規則に定めがある場合は労働の対償として判断される可能性があります。条件によって異なってきますので確認が必要です。

場合によっては、社会保険料の算定対象となるが、労働保険料の算定対象とならないという事もあると思います。

〇月額の手当支給の場合のポイント

・固定的賃金の変動として随時改定の対象となります。繁忙時期等が事前にわかっていれば、繁忙時期を避けて支給を開始する方法もあります。

・月額の手当として継続的に支給していく場合は、就業規則の改定が必要になります。

手当の支給が必要なくなった時には、会社の判断で支給停止できるように就業規則に明記することをおすすめします。

尚、就業規則の改定は従業員への周知、従業員代表の意見聴取、労働基準監督署への届出が必要となります。

割増賃金の算定対象に含まれるか

割増賃金の算定基礎に含まれるかどうかは確認が必要です。

割増賃金の算定基礎に含めないものとして、①家族手当、➁臨時に支払われた賃金、③一ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金等があります。これらの賃金に該当するか否かは実質で判断されます。

①家族手当として扶養人数等を基準とし、家族手当に加算する形であれば家族手当に該当する可能性もあります。ただし、独身者に対しても同様に一定額の手当が支払われていれば家族手当として認められないことになります。(月額手当の場合)

➁臨時に支払われた賃金に該当する可能性もあります。しかし、全従業員一律に毎月いくらという形で支給すると「非常に稀に支給事由が発生するもの」とはいえないので、臨時に支払われた賃金に該当しません。(一時金の場合)

③一ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は、月額支給の場合は該当しませんが、一時金で支給する場合には該当する可能性があります。

インフレ手当の金額設定

一時金の場合の支給額については1万円から3万円を支給する会社が多く、月額手当の支給額は3千円から3万円の間で設定するのが一般的で、平均支給額は6,500円との調査結果がでています。社会保険料を見込んでの設定も大切になります。

支給対象者

物価高騰はすべての従業員に関係しているので、正社員のみに支給するのではなく、パート、アルバイト等も支給対象に含めて考えた方が無難です。正社員とパート、アルバイトには役割や責任が異なる為、金額に差を設けるには、所定労働時間を基準として金額を設定する等、待遇差の合理性を説明できる事が望ましいです。

 

インフレ手当は従業員のモチベーションアップにつながり人材流出の防止として有効ですが、導入するかは慎重に判断するのが良いと思います。

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