雇用保険の加入要件と適用除外について
2025/12/15
先日、事業を始められたばかりのお客様から雇用保険の加入要件についてご質問をいただきました。
「週所定労働時間が20時間に満たない従業員から、雇用保険に加入したいと言われています。加入することはできますか?」
雇用保険の加入要件として、週所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがある必要があります。従業員が雇用保険の加入を希望しても、要件を満たさなければ加入ができません。今回のケースでは、雇用契約を見直し、週所定労働時間を20時間以上にする必要があります。
雇用保険の適用除外となる者は以下の通りです。
1,1週間の所定労働時間が20時間未満である者
2,同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者
3,季節的に雇用される者であって、以下のイ又はロに該当するもの
イ,4か月以内の期間を定めて雇用される者
ロ,1週間の所定労働時間が30時間未満の者
4,学校教育法第一条に規定する学校、同法第124条に規定する専修学校または同法第134条に規定する各種学校の学生または生徒
5,船員であって、特定漁船以外の漁船に乗り組むために雇用される者(1年を通じて船員として雇用される場合を除く)
6,国、都道府県、市町村等の事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、雇用保険の求職者給付および就職促進給付の内容を超えると認められる者
上記の適用除外に該当しても、例外的に被保険者となる場合があります。今回はその例外や、加入判断に迷うケースの一部をご紹介します。※日雇労働被保険者については、割愛します。
○学生
昼間学生は原則被保険者とはなりませんが、夜間・定時制や通信制の学生は、加入要件に該当すれば加入手続きが必要です。また、休学中の者や、卒業前から雇用されていて、卒業後も同じ会社で引き続き雇用される者(卒業見込みの者)は被保険者となります。
○副業している労働者について
雇用保険の資格を二重で取得することは原則できません。雇用されている事業所がどちらも雇用保険の適用事業所である場合は、主たる賃金を受けている事業所で加入手続きを取ります。一方、65歳以上の場合は、2つの事業所の労働時間を合計して、20時間以上であれば、例外的に雇用保険の加入ができる「マルチジョブホルダー制度」があります。1つの事業所の労働時間が5時間以上20時間未満で、31日以上の雇用見込みであることが要件となっています。加入の手続きは、労働者本人が直接ハローワークに申出を行う必要があります。
3法人の役員
代表取締役は被保険者とはなりません。代表取締役以外の役員も、原則は加入することができませんが、従業員としての身分を有する兼務役員は被保険者となる場合があります。この場合、一般の従業員と同様に勤怠管理していることや、給与支払等の実態を見て、労働者的性格が強いかハローワークで判断されます。
4事業主と同居の親族
事業主と同居している親族は、原則として被保険者となりませんが、業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であることや、労働時間や賃金等の労務管理を他の従業員と同様にされていることが要件となっています。ただし、事業主と利益を一にする地位(取締役等)の場合は加入できません。こちらもハローワークで出勤簿や賃金台帳等を確認して、判断されます。
詳細の手続きや必要書類等につきましては管轄のハローワークにお問い合わせください。
















