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生き生きと勇ましく(中村天風)

   

今回の雑感は、中村天風氏の「心の科学的説明」について触れます。

心の作用をおこなう神経系統には、中枢神経と自律神経があります。

中枢神経は、脳髄および脊髄ならびに脊髄を中心とした体の各所に散らばって存在しています。それでこの神経は、人間の肉体に存在する五官感覚(目・鼻・耳・舌・皮膚)を脳に伝達して、知覚やその他の意識状態を発生せしめて、いろいろな観念や思想を作成する作用を司っています。つまり、他人の話を聞きながら、自分はいろんなことを考えてる。そして自分の考えの中に誤りがあるのを正したり、あるいはわけがわかないものでもって、ただもうおもしろさに食い入っていたり、なかにはおもしろくなく食い入っていたりというふうになるのも、結局、中枢神経の働きの状態によるということです。

そしてそのうえに、中枢神経は、我々の生命の命令指揮者となって、我々の肉体を我々の心の欲するままに動かす、あるいは、処置してくれるという、ありがたい働きをしてくれます。

次に、自律神経は、生命の中で働いているいろいろな働きをもっています。一椀の水、一杯の飯を食べた場合でも、のどもと三寸を過ぎてしまえば、もうあとは自律神経がすべての仕事を受け持ってくれます。さらに自律神経は直接、大脳の支配を受けていないから、生きている限り、夜寝てる間でも働いています。

これら神経と肉体の相互関係、いわゆる命の全体に対しての神経と肉体との関係は、理論のうえでは区別して論じていますが、厳粛にいうと、これは理論の便宜上で分けているだけで、肉体と精神というものは別に分けられないのです。真実においては一つものなのです。つまり、人間の生命は、「心の働き」一つなのです。ある「気の働き」一つなのです。その気の働きを完全にするために心のもち方を積極的にしたり、「気」の働きを完全に受け入れる器である肉体の生活もまた、真理から戻してはいけないのです。

「どうも私はそういう気になれない」「どうもあなたの気持ちがわからない」「何か気分が悪いよ」「あいつはいいんだよ、あれは気が張っているから」「いやあ、あいつは気にいらない」みんな「気」です。

人間の生命の全部はただもう「気」ひとつです。この「気」というものは理屈ではありません。

どんなことがあっても、「気」を汚さないことです。「気」を始終きれいなものにしておくためには、感情のとりこにならないで、最後まで「気」を大事にするという気持ちを忘れないことです。

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