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バス運転士として採用、勤務不良理由に職種変更?

      2016/02/21

西日本鉄道(B営業所)事件 【福岡高判 2015/01/17】
原告:従業員X  /  被告:Y社


【請求内容】
職種限定採用のため、職種変更は無効として賃金、退職金の差額等を請求して控訴した。

【争  点】
職種変更の有効性、職種変更に同意する合理性の有無、解雇相当事由の存在を要件とするか否か。

【判  決】
解雇事由の有無にかかわらず同意することもあるとしたうえで、自由意思による同意があり、職種変更は有効とし棄却

【概  要】
Xは、バス運転士に職種を限定した雇用契約を締結した。乗客を巻き込む傷害事故を起こしたため、Y社はXが過去に苦情13件、責任事故6件、経路逸脱運転2件を起こしていたこともあり、事故後所内教育を行った。改善が期待できなかったため。清掃業務への職種変更を行った。XはY社を退職したが、職種限定の雇用契約のため、バス運転士以外の職種への変更は無効であると主張し、賃金、退職金の差額等を請求して控訴した。

【確  認】
【職種変更のポイント】
① 労働契約で職種特定を合意していると、職種の変更は使用者の一方的な命令ではできず、労働者の同意が必要である。
② 長期雇用を前提として採用された労働者については、同一の仕事を長年継続して従事してきたことのみでは、職種限定の合意が成立しているとは認められにくい。
③ 職種限定の合意が認められない場合には、異職種への配転は契約上可能であるが、配転命令権について権利濫用の制約はおよぶ。(労契法3条5項)
〈参考〉大成会福岡記念病院事件福岡地決昭58.2.24/国家公務員共済組合連合会事件仙台地判昭48.5.21/東京サレジオ学園事件東京高判平15.9.24

 

労働新聞 2015/11/16 / 3041号より

【判決のポイント】

■ 非限定社員の人事異動
企業は従業員対し業務の必要上、配置転換(職務・職種、勤務場所・勤務地の変更)出向を命ずることができるか?本人の同意があればできる。ただ、同意がな くとも配転等を命じられるかは、包括的同意説と個人別同意説の対立があった。最高裁は、東亜ペイント事件(最二小昭61.7.14)で労働契約、就業規則 に定めがあり、慣習的に行われており、採用に際し、勤務地を限定する合意がなかった場合には、包括的同意説を支持し、定着している。
■ 限定社員の職種変更
職種限定の従業員の職種変更には従業員本人の同意が必要不可欠である。その同意は自由意思による任意のものでなければならない。
■ 任意性の判断の枠組み
任意性の有無の判断にあたっては、職種変更に至る事情及び経緯、具体的には、①労働者が自発的に職種変更を申し出たのか、②使用者の働きかけにより不本意 ながら同意した場合には、労働者が変更前の職種にとどまることが客観的に困難だったのかなど、労働者が職種変更に同意する合意性の有無、③職種変更後の状 況等を総合考慮して慎重に判断すべきとし、具体的に判断枠組みを定立している。
その上で、Xに関する、苦情、責任事故、指定外運行の件数、内容、所内教育中の状況からバス運転士として適格性にかけ、Xを運転士として乗務させることが できないとY社が判断したことには相当な理由があったこと、XとA所長の面談にはY労組の分会長が同席していたこと、Xが弁護士と相談し、職種変更を希望 する旨を回答して職種変更に至ったこと等から、Xの職種変更は、任意(自由意思)によるものと認定した。

【SPCの見解】

■ 本判決は今後増加が予想される、「多様な正社員」職務・職種、勤務場所・勤務地、労働時間を限定した正社員に対し、労働契約締結時に限定した事項につ いて変更を行うためには、就業規則や労働協約による包括的同意ではなく、個別同意が必要な点、その同意について任意性の判断枠組みは今後の限定社員に対す る事後変更の指標となるだろう。
本件は、会社の対応として、従業員教育がされていたこと、従業員との面談において、弁護士や組合の会長等第三者を交えて面談していたところが評価された。そのため本人の任意(自由意思)による職種変更の同意があったものと認定されることは妥当と考えられる。

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