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高額療養費制度について

   

高額医療費制度とは、医療費が高額になり、一定の金額(自己負担限度額)を超える場合に、超えた部分が払い戻される制度です。手続きとしては、事前に申請する方法と事後に申請する方法があります。

●事前に申請する方法・・・診療を受ける前に加入している保険者に申請し「限度額適用認定証」という証明書の交付を受け、医療機関に提示することによって、医療機関の窓口での支払が自己負担限度額までに軽減されます。70歳から74歳未満の方は「高齢受給者証」の提示で限度額が適用されますので申請は不要です。(非課税で低所得者の場合は別途申請が必要)

●事後に申請する方法・・・医療機関窓口で、3割負担額の医療費を全額払い、後で高額療養費の申請書を申請することによって、自己負担限度額を超えた部分が払い戻しされる方法です。

最終的な負担金額はどちらも同じなのですが、事後申請の場合、いったん窓口で全額払うという経済的な負担があり、診療した月から払い戻しまでに約3か月程度もかかってしまいます。                        また、高額療養費は1か月に1枚申請が必要ですが、限度額適用認定証の場合は最長1年分申請できるという利点があります。手続や費用の負担を考えるとできれば限度額適用認定証の方がおすすめです。

 

≪高額療養費の制度を活用する注意点及びポイント≫

1・毎月1日から末日までが計算単位のため、入院期間を調整できるのであれば、月をまたがず入院した方が医療費を軽減できます                                                     2・食事代・差額ベッド代・保険適用外の診療は高額療養費の対象外です。                                                                            3・70歳未満と70歳から74歳までの場合は扱いが違います。                                                                                4・申請請月以前12か月間に、すでに3回以上高額療養費の支給を受けている場合は4回目から「高額医療費の多数該当」となり自己負担額限度額が下がります。                                   5・複数病院の合算・世帯合算ができます。

上記5の複数病院の合算・世帯合算については、合算要件があります。合算要件としては、医療機関ごと、(同じ医療機関であっても、医科入院・医科外来・歯科入院・歯科外来に分けて計算します)被保険者ごと、被扶養者ごとに分けて計算します。70歳未満の場合は、要件ごとに分けた1か月の自己負担額が21,000円以上のものを合算します。(70歳~74歳の方は保険適用分の支払すべてを合算)

 

《高額療養費制度を活用した場合の計算例》

所得によって計算式が異なるので、ここでは被保険者の標準報酬月額が28万円から50万円であり被保険者・被扶養者とも70歳未満の場合の例をあげてみます。この場合の自己負担限度額の計算式は80,100円+(総医療費-267,000円)×1%です。

1・限度額認定証を使わず、自己負担分を窓口で全額支払った場合

A病院の入院 自己負担額300,000円 (総医療費1,000,000円)                                                                                                                                               B病院の外来同月内2回の合計 自己負担額30,000円 (総医療費 100,000円)                                                                       C病院の外来 自己負担額6,000円 (総医療費 20,000円)

この場合、A病院とB病院での自己負担額が21,000円以上となるため、合算できる対象はA病院とB病院です。

AとBに実際払った自己負担額  300,000+30,000=330,000                                                                                自己負担限度額 80,100円+(1,000,000円+100,000-267,000)×1%=88,430円                                                                       戻って来る金額は 330,000円-88,430円=241,750円となります。

 

2・複数の医療機関で限度額適用認定証を使用した場合

A病院 自己負担額87,430円(総医療費 1,000,000円)                                                                                   B病院 自己負担額82,430円(総医療費 500,000円)

実際払った自己負担額 87,430円+82,430円=169,860円                                                                                   自己負担限度額 80,100円+(1,000,000円+500,000円-267,000円)×1%=92,430円                                                                     戻ってくる金額は 169,860円-92,430円=77,430円となります。

限度額認定証を使っても、同月内に複数の病院で診療していれば、さらに、後日、高額療養費の申請をして払い戻しが受けれるということです。

 

3・世帯合算した場合(同じ保険者)

夫 A病院 自己負担額 30,000円(総医療費 100,000円)                                                                                 妻 B病院 自己負担額 60,000円(総医療費 200,000円)                                                                                    子 B病院 自己負担額 15,000円(総医療費 50,000円)

この場合、一人あたりの自己負担額は自己負担限度額より少ないため、対象にはならないのですが、夫と妻を合算することによって対象になります。子は15,000円で要件の21,000円以上でないため、合算できません。

夫と妻が実際払った自己負担額 30,000円+60,000円=90,000円                                                                               自己負担限度額 80,100円+(100,000円+200,000円-267,000円)×1%=80,430円                                                                    戻ってくる金額 90,000円-80,430円=9,570円となります。

 

病気やけがが長引いたときほど、医療費の負担はとても大きいです。実は私自身も3年前に入院したときに、この制度のおかげで、医療費の負担を抑えることができました。制度を知らないために高い医療費を払ったままというのは残念なことです。一人では対象にならないと思っていても、世帯合算という特例もあるので、ぜひ活用してもらいたいです。なお、高額医療費の支給を受ける権利は診療を受けた月の翌月初日から2年です。2年を過ぎると申請ができなくなるので注意が必要です。

詳しくは健保協会のHPを参考にしてください。

 

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030#hutan

 

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