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介護休業について

   

10月から、501人以上の企業については社会保険の適用拡大となり、週に20時間以上の労働・月8.8万円以上・学生以外・雇用契約が1年以上の見込み等の要件を満たす場合加入となることについては、準備を始めている会社様も多いかと思います。(過去のコラム2016.8.16参照)

社会保険について、もう一つご注意をしていただきたいのが、9月から社会保険の取得時に本人確認について、住民票コードとの確認がされます。2年前から、新入社員についてはこの確認がされていましたが、今後は入社してくる全従業員について対象となります。そのため、入社してきた従業員の住所について住民票と違う場合には、確認が取れず、取得時の保険証の発行等の手続きが長くかかってしまう可能性があります。そのため今後は、住民票と現住所を確認する必要がございます。そして、住民票の登録地にて取得の手続きを行いましょう。来年の1月からのマイナンバーの本人確認に伴った変更ですので、ご注意ください。

さて、今回は、平成29年1月に改正されます、育児介護休業法の改正に伴う、介護休業についてお伝えします。

主な改正内容は

・介護休業の分割取得(育介法)

・介護休業の申し出をすることができる有期契約労働者の要件の緩和(育介法)

・介護のための所定労働時間の制限の新設(育介法)

・介護のための所定労働時間の短縮等の措置の改正(育介法)

・介護休暇の改正(育介法)

現行の制度では、介護休業は、対象家族1人につき「一の要介護状態」ごとに1回、通算して93日まで取得可能。(所定労働時間の短縮措置等が講じられた日数も含む)

対象家族は、①配偶者・父母・子・配偶者の父母

②労働者が同居し、かつ、扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫

改正後は、介護休業は対象家族1人につき、同一の要介護状態であっても、3回を上限として、通算して93日まで取得可能(所定労働時間の短縮措置が講じられた日数は除く)

対象家族は、配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫(同居要件・扶養要件がなくなりました。)

介護休業の93日という日数は変わりませんが、分割して取得できるようになった点と、短縮措置等を含めず、労働者の申し出に基づく連続する3年以上の期間において少なくとも2回以上取得可能となり、介護休業のみで93日となりました。短縮の内容については、現行と変わらず、①所定労働時間の短縮(短時間勤務)②フレクスタイム制度③始業・就業時刻の繰り上げ・繰り下げ④労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度のいづれか一つ以上を講じなければなりません。

また、所定外労働の制限が新設されました。① 要介護状態にある対象家族を介護する労働者が介護終了までの期間について請求した場合、所定労働時間を超えて労働させてはならない② 以下の労働者を適用除外として労使協定で定めることができる。(雇用された期間が1年未満の労働者・請求できないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者)これは、所定労働時間の制限のため、従業員の申し出により、期間を決め、その期間については、残業をさせないように対応しなければなりません。運用としては、育児の所定外労働の制限と同様に対応していただければと思います。

制度の改正により、長期化する介護において、退職せず、仕事を続けながら介護を行えるようになりました。また、この他に、有期労働者の取得要件の緩和や介護休暇について1日単位から半日単位での取得が可能となります。

この改正に伴い雇用保険についても給付額の増額や、支給回数など変更となりました。今回の改正で就業規則等の変更も必要となりますので、ご準備をそろそろ始めてもいい頃ではないかと思います。

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