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■労働基準法 付加金支払命令

      2016/02/21

残業代未払等により、裁判で未払残業代を請求された場合、未払金に加えて「付加金」という金銭の支払いを命じられることがあります。

付加金とは、使用者が労働者に支払うべき義務があるのに、支払いを怠ったことについての使用者に対する制裁金であり、労働者の請求によって、裁判所の判決によって命じられます。

この付加金が命じられる場合というのは、残業代未払の場合に限らず、以下の金銭の未払があった場合において命じられることがあります。

1・解雇予告手当(労働基準法20条)
2・休業手当(労働基準法26条)
3・時間外労働に対する割増賃金(労働基準法37条)
4・法定休日労働に対する割増賃金(労働基準法37条)
5・深夜労働に対する割増賃金(労働基準法37条)
6・年次有給休暇中の賃金(労働基準法39条7項)

付加金については、以下のように労働基準法114条に規定されています。

労働基準法 第114条
「裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第7項の規定による賃金を支払らわなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は違反のあった時から2年以内にしなければならない。」

上記規定のとおり、付加金は最大で未払い金と同額の金銭が認められる可能性があります。つまり未払金の倍額を払わなければならない可能性がでてくるということです。

付加金は必ず命じられるものではなく、あくまで「支払を命じることができる」と規定されており、付加金の支払いを命じるかどうかは裁判所の裁量にかかっています。

付加金の存否・額の判断基準は
1・使用者の労働基準法違反の程度・態様
2・労働者の不利益の性質・内容
3・違反に至る経緯やその後の使用者の対応など

以上のような基準を踏まえて、 付加金の存否・額は裁判所の裁量によって判決されます。基本的には、使用者側の労務管理の悪質性の程度や、労働者が被った損害の程度等によって判断されることになるでしょう。

また、同規程により、付加金の請求権は未払いがあったときから2年で消滅します。未払いがあったときとは、本来支払うべき給料のときで、そのときから起算して2年を経過していれば付加金を命じられることはありません。

付加金の支払いは必ず命じられるものではありませんが、いずれにせよ、企業にとって余分なお金を払うことはしたくないものです。
過去の判例では付加金だけで700万円もの金額を請求された判例があります。
高額な付加金が命じられた場合、企業にとっては大打撃であり、経営にも影響が及ぼしてしまうこともあります。そうならないためにも、日頃から労務管理を適正に行うことをする必要があると思われます。

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