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リファラル採用制度のすすめ

      2023/12/25

人手不足が深刻化していく中、リファラル採用のご相談をいただく機会が増えました。リファラル採用とは従業員から知人を紹介してもらう社内の採用制度を指します。日本ではあまり定着している採用方法ではありませんが、リファラル採用は以下のようなメリットがあります。

 

○リファラル採用のメリット

・採用コストを削減

リファラル採用で従業員に対して紹介料などを支払ったとしても、求人広告の利用や有料の転職エージェントの利用と比べると、コストは安く抑えられます。紹介した人材が定着した場合、会社が従業員に支払う報酬としては数万~20万円程度までが多いと言えます。

 

・求める人材に直接アプローチできる

紹介した従業員は会社が求めている人材をイメージするとともに、知人の人となりやスキルをある程度承知しているため、会社が求めている人材に既にマッチしている可能性が高いです。紹介者が自社の魅力を実体験で伝えていると入社後にギャップを抱えるリスクも低減できます。

 

・スキルが高い人材に会えて競合も少ない

通常の採用活動で会うことが出来る人材は、転職希望者が転職を決断し、求人を閲覧したり、転職エージェントに申し込んだ人材となることが一般的です。一方、リファラル採用の場合は、転職活動を始めていないケースもあるので、通常の採用活動で会えないような高いスキルを保持した人材にアプローチできる可能性があります。知人からの紹介であることで、競合が少なく、採用時にお互いの条件さえマッチできれば有為な人材を採用できる可能性が高くなります。

 

・離職率を低下

よりマッチング精度が高く、知人からの紹介で入社した場合は離職する可能性は一般入社と比べると低いでしょう。紹介する従業員は自発的に知人への教育や良い社風を伝えてくれることも考えられます。自然と経営的な視点を持ち意識の変化にも期待ができます。

 

○リファラル採用の注意点

リファラル採用には気をつけておきたいこともあります。

・従業員の動きに依存してしまうリスク

早急に人材が欲しいときに、従業員の紹介のみに依存してしまうと、従業員の意向や転職してくれる人材の有無は不明瞭であるため採用までなかなか至らないことが考えられます。やはり転職市場にいる人材にアプローチする機会が多いのは職安や転職エージェントの利用と言えるため、並行した採用方法も必要です。

 

・法律に抵触していないか

職業安定法の第三十六条は「労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは、厚生労働大臣の許可を受けなければならない」としています。また、報酬を与えない場合も、厚生労働大臣に届け出なければなりません。よって、被用者(労働者)に賃金や給与(現物支給を含む)として支払う場合は認められています。被用者であっても紹介者の事業として報酬を支払うと、職業安定法や労働者派遣法に抵触し違法となる可能性があります。

 

・人材紹介を就業規則に記載する

法律への抵触を避けるためにはリファラル採用制度を運用するには業務の一環として就業規則に記載する必要があります。就業規則には、リファラル採用が正式な業務の一部であること、また、それによって支払う報酬の金額や、経費の支給を盛り込む必要があります。報酬が高額だと人材紹介業と判断される可能性も高くなるため、人材紹介会社への報酬相場よりも低くし、その他会社の手当ともバランスと取ることも必要です。さらに報酬を支給する上限回数やどの時点で報酬が発生するのかについても設定しておいた方がよいでしょう。支給する金額によりますが、入社後3か月など人材が定着した段階での支払いが多いです。リファラル採用制度の中に教育を組み込むことも業務性が高くなると言えます。

 

人手不足対策や社内の組織体制を再構築するためにリファラル制度の導入を検討されてはいかがでしょうか。

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