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男性の育児休業について

      2022/12/05

今年は、育児・介護休業法が改正となり、令和4年4月、令和4年10月と段階を経て施行されてきました。また、令和5年4月には、大企業(従業員1000人超)は育児休業取得状況の公表義務化が施行されます。

昨今、少子化による労働人口の減少で、女性の労働力が必要とされているなか、女性が出産後も働きやすい環境を整えるだけでなく、男性の育児参加を促す必要があり、雇用環境整備、育休取得の意向確認の義務化や男性の育児休業(産後パパ育休)や育休の分割取得制度が段階を経て施行されてきました。

最近の統計では、共働き世帯は全体の約7割となっており、男女とも仕事と育児の両立ができるように環境整備していくことが、会社として重要な課題であると思います。本日は、今回の法改正により今後ますます増えていくと予想される男性の育休について、まとめます。

男性の積極的な育児参加は、この数年で進んできたと感じています。スーパーや公園、保育園の送迎等でパパを見かけることが多く、日中でも子供と関わるパパが増え、男性の育児休業が進んでいるのではないかと感じさせます。しかし、まだまだ女性の取得割合と比べると依然として大きな差があります。令和3年のデータでは、男性の育休取得割合は約14%と政府が掲げている”令和7年までに30%”という目標には遠い結果となっています。

 

令和3年度雇用均等基本調査

【育児休業取得者の割合】

女性 : 85.1% (対前年度比 3.5ポイント上昇)

男性 : 13.97% (対前年度比 1.32ポイント上昇)

 

男性の育休取得率が低いのは、下記の理由が挙げられます。

  • 男性は女性より育休取得しづらい雰囲気が職場にあるから
  • 職場から男性への育休取得促進が不十分だから
  • 前例となる男性育休取得者の数が少ないから
  • 業務が繁忙で職場の人手が不足している
  • 自分にしかできない仕事や担当している仕事があった
  • 収入を減らしたくない

育児休業は一般的に子が1歳になるまで取得するので、育児休業のイメージは「長い」といったことも取得をためらう一つの要因と考えられます。しかし実際には、育児休業は何日以上取得しなければならないといった要件はなく、平成30年統計によると男性が取得した育児休業は5日未満が36.3%、5日~2週間未満が35.1%と全体の7割以上を占めています。

今回の改正で、産後パパ育休(出生8週間以内に4週間まで取得可能)を分割して2回取得することができるようになり、8週以後も分割して2回取得が可能となりましたので、短期間にわけて取得しやすくなりました。

 

両立支援等助成金

この男性の育児休業を支援するための助成金として、両立支援等助成金(出生時両立支援コース)があります。※中小企業のみ

この助成金は、男性が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場づくりに取り組み、男性の育児休業や育児目的休暇の利用者が出た事業主に支給されます。

主な要件

・育児・介護休業法に規定する雇用環境整備の措置を複数実施すること。

・男性労働者が、子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得すること。

・育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること。

支給額

20万円(1事業主1回限り)中小企業に限ります

※代替要員加算:20万円(代替要員が3人以上の場合45万円)

 

ポイント

上記助成金については、中小企業については育児休業を連続5日以上で取得することが要件となり、所定休日があった場合を含めて算定しますが、申出に係る4日以上が所定労働日に対する休業であることが必要です。

また、育児休業が月末を含む場合には社会保険料の免除申請も可能となります。

社会保険料は会社負担分も本人負担分も免除となります。免除となった月について賞与が支給される場合には賞与の保険料も免除となります。※賞与を支払った月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合に限ります。

 

先日、弊社もこのコースの支給申請をいたしました。男性の育児休業を検討される際にはぜひご相談ください。

 

参考資料

令和3年度雇用均等基本調査https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r03/07.pdf

両立支援等助成金のご案内https://www.mhlw.go.jp/content/000927607.pdf

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