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若者の採用と後継者問題について

      2022/02/18

今年は毎月のように祝日がある“当たり年”とのことですが、コロナ禍でもあるため、北京オリンピックを観るなどして、私もおうち時間を楽しんでいます。

先月、久しぶりにOFF-JT(職場外研修)に参加してきました。コロナ禍での開催ではありましたが、十分な感染対策をとった上でのグループワークもあり、他企業で働く皆さんの考え方を吸収することができた、非常に有意義な研修でした。

部下を持ったばかりか、これから部下を持つ層の社員向け研修で、業種が違っても考え方の方向性はみなさん同じなため、グループワークもスムーズに進んで気持ちがいいものでした。

何十年と言われてきている「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」や「PDCAサイクル」の原則に触れつつ、それをどう部下の育成に活かしていくのかが主な研修の内容でした。

15年くらい前は、隣席に居てもチャットで会話がされ、周りに聞かれることなく成り立つ会話が新鮮で、流行っていた時期がありました。

今はコロナ禍でテレワークが急速に進み、最初は通勤時間を家族との時間に使え、人に会うことなく仕事ができることが新鮮で効率的だと言われていましたが、最近ではテレワークの孤独感やコミュニケーション不足から、メンタルヘルス不調に陥る人も増えていると言います。

結局のところ、人と接することなく仕事を完結できる人は実は少なく、企業を活性化するためには、人との交わりは必要であるということの表れなのでしょうか。研修の中でも、部下とのコミュニケーションの必要性について学びました。

先日発表された、東京商工リサーチでの調査によると、2021年の「休廃業・解散企業」は、全国で4万4,377件。統計が開始された2000年以降、2020年(4万9,698件)、2018年(4万6,724件)に次ぐ3番目の高水準とのことでした。2021年の企業倒産は6,030件で、コロナ禍での政府等による資金繰り支援もあり、57年ぶりの低水準だったようです。

倒産の7倍近くに上る休廃業の背景には、代表者の高齢化問題があるらしく、休廃業した代表者の年齢別調査によると、70代が最も多く42.6%を占めていたようです。事業承継が60代で徐々に進みつつある中、“70歳以上になると事業継承への時間的制約や、事業譲渡先も見つからないなどの理由で廃業以外の選択を失っている恐れがある“とも出ていました。

しかしながら、企業内の高齢化が進むことで、承継してもまたすぐに後継者探しをしなければならない状況もあり、若者の採用に力を入れ、自社存続を長いスパンで考える企業も増えてきたように感じます。

働きいやすい環境整備の構築が進んでいる大手企業に負けじと、各社求人票の書き方を工夫するなど、自社のアピール方法や若者の興味を惹くような健康経営や各種認証制度の取得等々に力を入れ、他社との差別化を図ることで、中小企業の多くが人材確保に努めています。生産年齢人口の減少は、目に見えて感じるわけではないので、各方面の統計結果に敏感に反応をし、気付いた時には手遅れということだけは避けたいものです。

生まれた時代に分けて「〇〇世代」とよく言われますが、20代前半を指す「Z世代」は、生活の中でデジタルを活用することが当たり前の「真のデジタルネイティブ世代」であると言われています。

物心ついた時には、SNSが当たり前に使われていた「Z世代」は、機械的な繋がりを求めているわけではなく、自らが発信することで、知っている人、身近な人と感動の共有を求めている傾向にあるそうです。

私が受けた研修世代に必要とされているのは、若者が“運よく”募集してくれ、採用に繋がった場合、彼らをどう定着させ、育成するかという使命です。毎年のように新卒社員が入社する大手企業とは違い、10歳も20歳も年の離れた直属の先輩が指導に当たることも珍しくないはずです。

「こんなの常識だから言わなくても大丈夫だろう」や「場の空気を読んで、自らが気付いてやるだろう」は多分通用しません。SNSでのコミュニケーションを小さい頃から取ってきた彼らだからこそ、密なコミュニケーションを求めているため、1から10まで丁寧に、自身で判断ができるようになるまで寄り添ってあげることが必要のようです。

このご時世、家庭環境だったり、経済的理由だったりで進学ができなかった子も居ますが、だからこそちゃんと自立したいという、しっかりとした意思をもって働く意欲を示す若者は多いと言います。IT関連では10代で起業する人も居るほどです。

自社存続のために、若者が集まる企業を目指し、20代から60代までが隔たりなく働ける環境整備は、今後控えている育児介護休業法や労働施策総合推進法の改正とも繋がっています。学歴や経験だけで応募者を決めつけるのではなく、応募者の本質が見抜ける採用と育成が、これからの中小企業には必要なのかもしれませんね。当社も新しい風を吹き込む人材が現れることを、期待している今日この頃です。

◆東京商工リサーチ/2022.1.18公開「データを読む」

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220118_01.html

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