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SDGs(持続可能な開発目標)と健康経営について

      2020/10/30

急に寒くなってきましたが、皆さんは今年のインフルエンザ予防接種は、予定されていますか。当社は早々に、会社近くの病院で、全員接種をしてきました。健康経営の感染症予防対策の一環で、当社は接種費用、全額会社負担です。新型コロナウィルス感染症もまだ心配なので、これからの時期の感染症対策は、より重要になりますね。

さて、新聞や雑誌などでよく目にするようになった「SDGs(エスディージーズ)」。最近では中高生も授業で学ぶほど、かなり幅広い世代で注目されるキーワードになってきました。このアルファベット4文字の読み方は、私は娘から教えてもらいました。sだけ小文字なのに納得です。

「SDGs」とは、2015年9月に国連サミットで決定された「持続可能な開発目標」のことで、国際社会共通の目標として、17のゴールと169のターゲットで構成され、2016年から2030年までの目標とされています。すでに、今年5年目を迎えているわけです。

17のゴールには、「1.貧困をなくそう」、「2.飢餓をゼロに」や「5.ジェンダー平等を実現しよう」、「8.働きがいも経済成長も」、「12.つくる責任、つかう責任」などといった、貧困や教育、女性活躍、食品ロス、環境問題などの様々なものが掲げられています。そして、これらのゴールそれぞれにターゲットがあるわけですが、健康経営とも重なる「8働きがいも経済成長も」の中には、

「8-3.働きがいのある人間らしい仕事を増やしたり、会社を始めたり、新しいことを始めたりすることを助ける政策をすすめる。特に、中小規模の会社の設立や成長を応援する。」

の他に、

「8-5.2030年までに、若い人たちや障害がある人たち、男性も女性も、働きがいのある人間らしい仕事をできるようにする。そして、同じ仕事に対しては、同じだけの給料が支払われるようにする。」

「8-7.むりやり働かせること、奴隷のように働かせること、人を売り買いすることを終わらせるために、効果的な取り組みを緊急におこない、子どもを兵士にすることをふくめた最悪の形の児童労働を確実に禁止し、なくす。また、2025年までに、あらゆる形の児童労働をなくす。」

などというターゲット(達成目標)が示されています。

最近、日本で大きく注目されている“同一労働同一賃金”、そして日本の労働基準法にある“年少者の就労制限”と、一番重い罰則に当たる“強制労働の禁止”が思い浮かびます。しかしながら、世界規模で見た場合、満足に学習の機会が与えられず、働かざるを得ない環境にある子どもは、日本で想像する以上に多いことでしょう。

地球温暖化などの環境問題に視点を置いた認証制度に、「ISO14001」がありますが、こちらは企業が環境方針を謳い、自社の環境に配慮した取組を決めてPDCAサイクルを回していくわけですが、「SDGs」と大きく異なることは、審査機関の審査を受け、是正箇所があれば改善し、初めて認証が受けられるものであるところです。認証取得には、費用もかかります。

「SDGs」には、地球上の“誰ひとり取り残さない”という素晴らしいキーワードも謳われています。そのため、費用をかけずに誰もが取組めるものでもあり、逆に誰もが取組まなければならない活動でもあるわけです。

新型コロナウィルス感染症で、日本の雇用環境も決してよくない状況である今、世界に目を向けることは正直難しい問題かもしれません。ただ、新しい生活様式の中で、新しいビジネスの登場やテレワークなどの新しい働き方も生まれています。副業が可能な環境も広がりつつあります。

私たち一人一人が、やらされるのではなく、自らが率先して何ができるかを考え、小さくてもそれを実行することが、「SDGs」に繋がるかもしれません。

当社も取組んでいる健康経営も、目に見えてすぐに何かの効果が表れるものではなく、長期的に継続して取り組むことに意味があるものです。近い将来の労働人口減に向け、従業員が心身ともに健康でより長く働き続けてもらうための健康経営も「SDGs」の一環と言えるのではないでしょうか。

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