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賞与について

   

先日、大手家電メーカーが年2回の賞与を年4回にし、業績を細かく反映することを検討しているとの報道がありました。年間賞与の総額が増えるのなら羨ましい・・賞与の査定が大変だ・・など感じられた方がいらっしゃるのではないでしょうか。今日は、賞与支給の際の社会保険のルールについて確認したいと思います。

 

賞与とは

 

賞与とは、賃金、給与、俸給、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対象として受けるすべてのもののうち、3カ月を超える期間ごとに受けるものをいいます。

※臨時に受ける賃金は含みません。

 

 

3カ月を超える期間ごとに受けるもの

年間で4回未満(3回以下)に受けるものが賞与として処理する必要があります。従って、年4回以上受けるものは賞与ではなく、報酬(毎月支払われる標準報酬月額)に含める必要があります。

 

年4回以上の賞与の支給に変更となった場合、次の定時決定(算定基礎)までは引き続き賞与として取り扱う事を定めたルールがあります。

毎年7月1日現在における賃金、給料、俸給、手当又は賞与及びこれに準ずべきもので毎月支給されるもの(通常の報酬)以外のもの(以下「賞与」という)の支給実態が次のいずれかに該当する場合は、当該賞与は報酬に該当するものとされる。

  1. 賞与の支給が、給与規定、賃金協約等の諸規定によって年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているとき。
  2. 賞与の支給が7月1日以前の1年間を通じ4回以上行われているとき。したがって、賞与の支給回数が、当該年の7月2日以降新たに年間を通じて4回以上又は4回未満に変更された場合においても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月、9月の随時改定を含む)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、報酬に係る当該賞与の取り扱いは変わらないものとされる。(昭和53年6月20日保発第四七号・庁保発第二一号)

 

3カ月を超える期間ごとに支給される通勤手当

支給の実態は原則として毎月の通勤に対し支給され被保険者の通常の生計費の一部にあてられているので、賞与ではなく報酬とされます。

 

標準賞与額

賞与を受けた月において、被保険者が受けた賞与額(1000円未満の端数は切り捨て)に基づき、その月における標準賞与額が決定されます。

 

標準賞与額の上限

健康保険は年間573万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額)となり、厚生年金保険と子ども・子育て拠出金の場合は月間150万円となります。

 

賞与にかかる保険料額

標準賞与額に健康保険・介護保険・厚生年金の保険料率、子ども子育て拠出金の率をそれぞれ乗じて保険料が算出されます。

 

賞与を年に4回支給する場合、賞与ではなく月額の報酬に算入する必要があります。標準報酬が最高等級(健康保険は139万円・厚生年金は62万円)の被保険者が多い会社の場合、会社全体の保険料額を考えると、もともと標準報酬が最高等級の被保険者の保険料は上限に達しているので報酬に含まれることとなっても保険料は上がらず、結果的に年間の保険料額が抑えられるといったメリットがあると言われています。しかし、厚生年金の将来の年金額には反映されないこと、算定や月額変更時に賞与額を反映しなければならない手間や、規定の整備や賞与の査定にかかるコストも考慮する必要があると思われますのであまりお勧めはしておりませんが、賞与の回数変更を検討される際には事前にご相談ください。

 

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