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■多様な正社員とは

      2016/02/09

今週には師走と忙しく1年の終わりが迫ってきておりますが、皆様は風邪などひいていませんか?
今日は最近良く耳にする機会が多くなってきた『多様な正社員』についてお伝えしたいと思います。

一般的に、正社員とは期間の定めがなく、所定労働時間がフルタイムである、直接雇用の者をいいます。多様な正社員とは、配置転換や転勤、仕事内容や勤務時間などの範囲が限定されている正社員のことをいいます。
例として、全国転勤のない営業職、限定された店舗で働く販売スタッフ、ディーラーなど、特定の職務のスペシャリスト、短時間勤務(1日6時間程度)の事務職などがあります。
こういった制度を作ることによって、会社側、労働者側にメリットとしては、優秀な人材を確保定着させること、地域に根ざした事業展開や、従業員としてはワーク・ライフ・バランスやキャリア形成を行え、キャリアアップの実現につながります。

この制度を活用する際に留意点としては
1 労働者に対する限定の内容の明示
具体例的に限定の内容を明示することで紛争を未然に防ぐことができ、また限定内容が明示されることで、キャリア形成の見通しがつきやすくなります。就業規則とうに定めて契約書等で労働者にお伝えすることが有効とされています。
2 多様な正社員への転換制度
正社員から、限定社員へ、非正規社員から限定社員への転換制度をもうけることにより、新たなキャリアアップが可能となります。また有能な人材の流出を会社としては防ぐことができます。しかし、気をつけなければならないのが、限定社員への変更が正社員と比較した際にその差が少ない場合には、必ずしも限定社員への転換ではなく、労働条件の変更など、従業員のキャリア形成に合った選択をするひつようがございます。
3 正社員と多様な正社員間の均等処遇(賃金、昇進・昇格)
職務が一緒で、勤務地だけ限定される従業員においては、賃金水準については差をへらすべきです。また、職務限定については、職務給又は職務給の要素が強い賃金体系を構築することが望ましです。等賃金については同一労働同一賃金の考えをしっかりと入れた規定を定めるべきです。
4 正社員の働き方の見直し
所定外労働の必要性を点検し長時間労働の見直しを行う。転勤や配置転換の必要性の点検や期間の見直しを行うことで、限定社員と正社員との業務の切り出し等を行うことができ、働き方を選択する際の目安ともできます。
5 人材育成・キャリア形成
職務における職業能力の見える化を促進する。職業能力向上のための能力開発の機会を提供する。中長期的キャリア形成に資する専門的・実践的な職業能力開発への支援を行う。
6 制度の設計・導入・運用に当たっての労使コミュニケーション
円滑な導入・運用を実現するためには労働者に対し情報提供を行い、労使で十分に協議を行うことが大切です。労働者の納得を得られて初めて、円滑な導入・運用が実現します。
7 事業所閉鎖や職務の廃止などへの対応
勤務地限定社員等については事業所閉鎖や職務を廃止したりだけでは、整理解雇法理(4要件・4要素(人員削減の必要性・解雇回避努力義務を尽くしたか・被解雇者選定の妥当性・手続きの妥当性)については判例でも必要とされています。限定社員と言って整理解雇が安易にできるわけではありません。

上記のような留意点を参考に限定社員の導入について検討されてみてはいかがでしょうか?導入については就業規則等や契約書はしっかりとした作成が必要ですが、政府として、一億総活躍社会を実現するために提唱していることもあり、今後の社会にマッチした人事制度の一つとしてより増加していくのではないでしょうか。

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