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■試用期間中の解雇権

      2016/02/21

労働者を採用する場合、採用試験や面接だけでは労働者の能力や適性を把握することが難しいため、一定期間を試用期間として現実に就労させたうえで本採用を行うことが多くの企業で行われています。

使用者と使用期間中の労働者との契約は、期間の定めのない労働契約そのものにほかならないのですが 本採用に適しないと判断された場合は解雇しうるように、解雇権が留保された労働契約(留保解約権)となっています。

この留保解約権に基づく解雇は 通常の解雇よりも広い範囲において解雇の自由を認めています。ただし、試用期間中といえども、使用者との間に労働契約が成立している点においては、本採用の場合と変わりません。使用期間中の解雇も、試用期間の趣旨・目的に照らして客観的に合理的な理由が必要とされます。

1・留保解約権の行使が許される場合

採用決定後に使用者が当初知らなかった事実が判明した場合で、その事実により、そのものを当該企業に雇用しておくのが適当でないと判断することが 相当であると認められる場合に解約権を行使することができるといえます。

2・本採用拒否に具体的にどのような理由が認められるか

■一般的事由・・・能力不足・健康不良・経歴詐欺等
■勤務成績不良・・・無断欠勤・遅刻等、出勤状況が悪い。一般の従業員より厳格に適用していいとされています。
■業務適性不良・・・勤務態度や接客態度が悪く、上司からの注意を聞いても改善使用としない場合。
■協調性の有無・・・試用期間中は特に協調性の有無が重要なポイントとなります。

注意しなければいけないのは 労働者に不的確があったとしても、会社側が一度も注意しないまま、突然解雇するというのでは、認められません。会社には、教育的見地から合理的範囲内でその矯正・教育に尽くすべき義務があるともいわれ、期間内にいかなる指導育成がなされたかが、結果としての「解雇」の正当性を判断する材料になるからです。

単純に作業ミスだけでは 解雇することは認められず、作業ミスの回数・程度 また、使用者がそのために 指導や措置をしたのかなど客観的で合理的な理由が求められます。

うちの会社に向いてないといった漠然とした理由では 解雇はできません。また、他の社員のうわさや伝聞に基づくものでは 客観的証拠があるとはいえません。

試用期間中の解雇の保護の度合いが本採用後に比べて弱いとしても、過去の判例においても「試用期間中の解雇について、適格性を有しないと認めることはできない」として解雇権濫用で無効であると判断した例もありますので、留保解約権の行使が当然に認められるわけではない点に留意すべきでしょう。
また、就業規則には、試用期間の長さを明示するとともに、「試用期間中または試用期間満了時に、社員として不的確と認めた場合は、解雇する」旨を明記しておくことが必要であるといえるでしょう。

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