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事業主・役員の社会保険、労災特別加入制度について

      2022/06/13

近年、法人化に伴い社会保険の適用をご依頼いただくことがよくありますが、保険給付や保険料免除等で、事業主・役員と一般の労働者とで取り扱いが異なる個所がありますので、今回ご紹介いたします。また、事業主や役員の業務中・通勤中の災害に対応する保険について、制度の概要と加入のメリットを併せてご案内いたします。

産前産後休業と育児休業

労働者である健康保険・厚生年金保険の被保険者は、労働基準法や育児介護休業法に基づいた休業を取得することができ、健康保険から出産手当金(産前・産後期間)が支給され、雇用保険から産後8週以降の育児休業中に育児休業給付が支給されます。

一方、役員は労働者では無いため、労働基準法に定められている産前産後休業や育児介護休業法の適用はありません。しかし、健康保険法において出産手当金の支給要件は労働者に限定されていない為、役員であっても被保険者が出産し休業した場合は、支給申請が可能です。※産前・産後期間中に役員報酬が支払われた場合は、金額によって減額調整や不支給となります。

産前産後休業と育児休業期間の保険料免除

労働者である健康保険・厚生年金保険の被保険者は、産前・産後休暇や育児休業中の保険料免除の規定に基づき、届出が可能です。

役員は健康保険法や厚生年金保険法において産前産後休業で保険料免除の規定が独自でおかれているため、労働者と同様に産前産後期間中(有給・無給を問わない)の保険料免除があります。一方で育児休業中の保険料免除は、育児介護休業法に基づく休業と定義されていることから、役員は免除されません。

労働者との相違点は、役員の産前・産後休暇や育児休業は、法的に取得できる権利では無いということ。また育児休業においては、保険料免除も育児休業給付も無いのでご注意ください。

業務に起因する疾病や負傷等の特例

健康保険・厚生年金の被保険者やその被扶養者が法人の役員であるとき、法人の役員としての業務に起因する疾病、負傷又は死亡に関して、原則として保険給付は行われません。

しかし、被保険者の数が5人未満である小規模事業所で従業員と同じ作業をしている社長には保険給付が行われる特例があります。(健康保険法施行規則第52条の2)

※個人事業主は健康保険・厚生年金の被保険者になることはできませんので、原則として、国民健康保険から保険給付を行います。

中小事業主の労災保険特別加入制度

労災保険は、本来、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度です。経営者(取締役や事業主および家族従業員など労働者性のない方)が仕事中または出退勤中に負傷したり、仕事中または出退勤中の要因により病気になったときの治療費は原則として健康保険からは給付をされません。よってすべて実費で治療費を支払うことになります。 そのような時、労働保険事務組合に委託して労災保険の特別加入手続きをしていれば、原則として治療費や入院費の負担はなく、安心して治療に専念することができます。

労働保険事務組合へ委託するメリットは主に以下の3点です。

  1. 労働保険料の申告・納付等の労働保険事務を事業主に代わって処理しますので事務の手間が省けます。
  2. 労働保険料の額にかかわらず3回に分割納付できます。(委託時期により初年度が分割できない場合があります。)
  3. 労働保険に加入することが出来ない事業主や家族従事者等も、労災保険に特別に加入することが出来ます。

 中小事業主と認められる企業規模は以下の通りです。

金融業・保険業・不動産業・小売業 ・・・・労働者数が50人以下

卸売業・サービス業・・・・・・・・・・・・労働者数が100人以下

上記以外の業種・・・・・・・・・・・・・・労働者数が300人以下

 

労働者と同様な働き方をされている事業主やそのご家族の保険について、「中部労務管理保険組合」が労働保険事務組合の手続きを行っております。制度についての詳細や費用についてお気軽にご相談ください。

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