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令和3年4月からの36協定届の様式変更について

      2021/01/12

労働基準法施行規則の改正公布に伴い、令和3年4月1日より時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)が新しくなります。本日は、変更点を中心にご案内いたします。

 

36協定届における押印・署名の廃止

届出等の押印原則の規制が見直され、使用者及び労働者の記名押印または署名は不要となり、氏名の記載のみが必要となります。

上記取り扱いは、「協定届」として監督署に届け出る際の取扱いであって、「協定書」を兼ねる場合には、今まで通り使用者の署名又は記名・押印などが必要となります。

ほとんどの事業所については協定書を兼ねていますので、これまでの取り扱いを変える必要はございません。

 

36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設

労働者の過半数代表者の記載のある法令様式は、適格な協定当事者であることを確認する手段として様式に「チェックボックス」が2つ新設されました。チェックがない場合は、形式上の要件を備えていないものとされます。

 

チェックボックス

上記協定の当事者である労働組合が事業場の全ての労働者の過半数で組織する労働組合である又は上記協定の当事者である労働者の過半数を代表する者が全ての労働者の過半数を代表する者であること。☑

 

上記労働者の過半数を代表する者が、労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でなく、かつ、同法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であって使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。☑

 

※令和3年4月以降に旧様式で届け出る場合は、上記の記載を余白に追記するか、上記の記載を転記した紙を添付してください。

「過半数代表者」の要件については、これまでも、労働基準法施行規則6条の2によって「使用者が指名した者を過半数代表者とすること」等は不可とされてきましたが、今回の改正からチェックボックスにて労使による確認が必要となりました。労働者代表の選出に際しては、下記の点に留意してください。

 

  • 従業員代表者の立候補を募る ※労働組合が無い場合

36協定の締結にあたり、管理監督者以外の従業員の中から従業員代表を選出する必要がある事を説明します。この際、過半数代表になることについて不利益取り扱いはしないことも併せて説明すると立候補を検討してもらいやすくなると思います。

 

  • 従業員代表者の推薦(立候補がない場合)

管理監督者以外の従業員の中から適任と思う者を推薦してもらいます。最多数の推薦があったものに、従業員代表者となってもらえるか意思を確認してください。

過半数代表選出の同意書(推薦書)

投票、挙手、従業員の話し合い、同意書の回覧等の選出方法が考えられますが、代表者を決めた際に民主的な方法で行われたことが客観的に確認できるように、書面を作成することをお勧めします。また、従業員代表者として選出する目的について明記してください。

※就業規則や1年協定等の労使協定の従業員代表を兼ねる場合は必ずその旨の明記が必要です。

 

周知義務

使用者は、協定書を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない。(労働基準法106条1項)

厚生労働省令で定める方法とは・・

① 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付ける事こと。

② 書面を労働者に交付すること。

③ 時期テープ、磁気ディスクその他これらに準ずるものに記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。(労働基準法施行規則52条2)

36協定は就業規則と同様に周知が必要とされています。本社にしか規則が置いていなくて、各支店の従業員は見ることが出来なかったり、鍵のかかっている収納棚に置いてあったり、社長室の金庫の中にあったりすると、せっかく作成した就業規則や36協定が無効となってしまう恐れがあります。就業規則および労使協定は、上記のいずれかの方法で従業員に周知することが出来るようにご留意ください。

参考資料:厚生労働省リーフレット「36協定届が新しくなります」

000708408.pdf (mhlw.go.jp)

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