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同一労働同一賃金に係る最高裁判所判決言渡しに注目!!

   

最高裁判所は非正規社員(パート・契約社員等)と正規社員(定年まで雇用される正社員)の「待遇格差」の違法性が争われた5つの事件について、10月13日と15日の判決言渡しを決めました。

いわゆる「同一労働同一賃金」については、労働契約法(平成20年3月施行)第20条で規定されていましたが、令和2年4月1日からパート・有期労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)第8条に統合・整理されました。但し、中小企業については、令和3年4月1日からの適用です。

つまり、①職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)②職務の内容・配置の変更範囲 ③その他の事情(成果、能力、経験、合理的な労使の慣行等)が同一ならば基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、非正規と正規の間に不合理な待遇の違いを設けてはならないという「不合理な待遇差の禁止」が規定されています。

今までの最高裁判所の判断は、ハマキョウレックス事件と長澤運輸事件で共に平成30年6月1日に、手当(皆勤・無事故・作業・給食・通勤・精勤・超勤)については不合理を認めましたが、基本給、賞与、退職金については、「パンドラの箱」として開けていません。

それが、日本郵便(佐賀・東京・大阪)事件では、年末年始勤務手当と夏期冬期特別休暇が、大阪医科薬科大学事件では、賞与と私傷病による欠勤に対する賃金支給が、メトロコマース事件では、退職金に関する不合理性が問われ、最高裁判所の判決言渡しが、10月13日と15日に出るわけです。

長澤運輸事件の時は、高等裁判所までの判決で定年後の再雇用時における賃金減給が「不合理」と認められていましたので、大変な反響がありました。何のための雇用継続基本給付金なのか在職老齢年金なのかとあわせてかなりの問い合わせが、弊社にもありました。ですから、平成30年6月1日の判決は、「固唾を呑んで」見守っていました。結果、上記に記載した③のその他の事情により、非正規と正規の違いが認められ、懸念した基本給、賞与には触れられない判決となりました。

今回の5つの事件にも、上記に記載した①と②には、非正規と正規には違いがあります。その点を考慮すれば、「パンドラの箱」は全面的には開けられないと予想しています。

ただし、小穴を開けて、同一労働同一賃金についての高等裁判所、地方裁判所の判断のばらつきに「一定の基準」を示すのではないかと注目しています。

10月13日、15日にはぜひ関心をもって速報に耳を傾けてください。

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