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通勤災害について

   

美味しいものが多い秋は食欲が止まらない!!これではダメだと、ダイエットのために、自転車通勤を始めました!私と同じような考えの方もいらっしゃるかと思い、今日は通勤災害についてご説明します。

「通勤」の定義とは、「労働者が就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を除くもの」と規定されています。
通勤に該当する移動とは
・住居と就業との間の往復
・就業の場所から他の就業場所への移動(複数の事業場間の移動)
・往復に先行し、または、後続する住居間の移動(単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居間の移動)のことです。
ただし、移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の移動は「通勤」とはなりません。

よくお問い合わせ頂く質問を例に説明したいと思います。

1.『会社に申し出をしている、通勤方法とは別の通勤方法で通勤した場合は通勤災害になるのでしょうか?』

2.『会社の帰りに、日用品を買って帰る場合、逸脱のため通勤災害になるのでしょうか?』

3.『勤務後に、組合活動等に参加して、就業時間から1時間30分経ってからの帰宅については通勤災害となるのでしょうか?』

4.『取引先へ自宅から、直接行く場合、取引先から自宅へ直帰する場合は通勤災害となるのでしょうか?』

1の答えとしては、通勤災害となります!

合理的な経路及び方法であればOKです。電車通勤で申し出を出していたとしても、自転車通勤中の事故は通勤災害として認められます。また、雪の日に電車が止まってしまったので、車で通勤する等も認められます。 また、当日の交通事情により迂回してとる経路、マイカー通勤者が貸切りの車庫を経由して通る経路など、通勤のためにやむを得ずとる経路も合理的な経路となります。

しかし、特段の合理的な理由もなく、著しい遠回りとなる経路をとる場合などは、合理的な経路とはなりません。

2の答えは、通勤災害になる場合となります!

原則、逸脱または中断の間及びその後の移動は「通勤」とはならないのですが、これについては法律で例外が設けられており、日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、逸脱又は中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となります。
なお、厚生労働省令で定める逸脱、中断の例外となる行為は以下のとおりです。

1.日用品の購入その他これに準ずる行為

2.職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為

3.選挙権の行使その他これに準ずる行為

4.病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為

3の答えは、通勤災害となります!

業務終了後、労働組合の用務の為に費やした時間が社会通念上就業と帰宅との直接的関連性を失わせると認められるほど長時間といえるか否かがポイントとなります。本件では1時間30分であり、社会通念上就業との関連性を失わせると認められるほど長時間とはいえず、就業と帰宅との間には直接的関連性が認められます。判例では、業務終了後、サークル活動のために2時間50分会社に残ってから帰宅する際に遭った交通事故は、就業と帰宅との関連性が認められなかったケースがあります。

4の答えは、業務災害となります!

行政通達により、「出張業務の遂行については, その用務の時間的, 場所的な事情により, 事業所に寄らないで自宅を出て用務を果たし, また自宅へ帰ることが認されている場合には, 自宅を出てから自宅へ戻るまでが出張途上にあるものと考えられる」とされています。このような移動については, 通勤経路上か否かにかかわらず, 業務に該当することになります。取引へ直接行く場合には通勤災害ではなく業務災害となります。ただし、特定の取引先ではなく、特定地域へ直行, あるいは業務終了後に事業所に戻らず自宅へ直帰する際(具体的には, エリア担当営業のように, 具体的な訪問は特定されておらず, 特定の地域に赴き営業活動等を行う場合など) に発生した災害の場合は業務災害ではなく、 「外勤業務に従事する労働者で, 特定区域を担当し, 区域内にある数カ所の用務先を受け持って自宅との間を往復している場合には, 自宅を出てから最初の用務先が業務開始の場所であり, 最後の用務先が,業務終了の場所と認められる」とされています。したがって, 自宅から最初の訪問先までの移動が通勤, その後, 営業活動を行っている間については業務とし, 最後の訪問先から自宅までの移動を通勤として取り扱います。

 

もしも、従業員の方が通勤途中にお怪我された時の参考にして頂ければ幸いです。また、交通事故に関しては、第三者行為災害となり、自賠責との関連や、事故証明等必要な書式も変わってきますので、ご相談いただければと思います。

 

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