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労使協定の締結について

   

労働基準法の規定には、使用者と過半数労働組合(組合がない場合は労働者の過半数代表者)との間で締結される労使協定を要件としているものがいくつかあります。
一般的に知られているもので、代表的なものに三六協定がありますが、実は他にも、労使協定を締結しなければいけない規定もいくつかあります。

今回はこの労使協定とは、どのようなものであるのかをお話しさせていただきたいと思います。

1・労使協定の役割

労使協定とは、労働者と使用者(雇用主)との間で結ばれる書面による協定です。就業規則が会社が一方的に決めるものであるのに対して、労使協定は労働者と使用者の双方の同意があって決めるという違いがあります。
その内容が法律違反でない限り、労働者も使用者も労使協定に従う必要があります。労使協定は労働基準法で定められている事項を免除する効力があります。(免罰的効力)例えば労働基準法では禁止されている事項でも、 この労使協定を結ぶことによって免除されるといった効力です。

2・労使協定締結の単位

労使協定は基本的に会社ごとではなく事業場ごとに定める必要があります。同じ会社であっても事業場ごとに労働条件が異なる可能性がありますので支社や工場があれば個々に締結する必要があります。ただし、営業所などの規模が著しく小さくて独立性がないものは、直近の上位組織と一括して取り扱うことができます。
3・労使協定締結の当事者

(1)過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合と使用者との締結
(2)過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者と使用者との締結(この労働者の代表者とは管理監督者でないこと及び投票・挙手などで 選出されることが条件となります。)

4・労使協定が必要な労基法上の制度

(1)社内預金等の貯蓄金管理制度(監督署届出必要)
本来禁止されている、労働者の貯蓄金の使用者による管理を、労使協定の締結と届出を条件に容認しようとするものです。

(2)賃金の控除
賃金は全額を支払わなければならないとする原則の例外として、労使協定の締結により、購買代金や財形貯蓄の積立金などについて賃金からの控除を許すものです。

(3)1ヶ月単位の変形労働時間制を採用するとき(監督署届出必要)

(4)フレックスタイム制を採用するとき

(5)1年単位の変形労働時間制を採用するとき(監督署届出必要)

(6)1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用するとき(監督署届出必要)

(7)全労働者の休憩を一斉休憩によらないとき

(8)時間外・休日労働をさせるとき・・・ 三六協定のことです。(監督署届出必要)

(9)月60時間越の時間外労働をさせた場合の代替休暇制度を設けるとき
1か月に60時間を超える時間外労働に対して50%の割増賃金を支払わなければなりませんが(中小事業主は猶予)、労使協定を締結することにより、60時間を超えかつ割増賃金が引き上げられた部分に対応した部分(25%部分)について、割増賃金に代えて有給の代替休暇を付与することができます。

(10)事業場外のみなし労働時間制を採用するとき(監督署届出必要)
事業場外で業務につく労働者の労働時間をみなす場合に、原則は所定労働時間労働したものとみなされますが、労使協定で、通常必要とされる時間を定めた場合は、その時間労働したものとみなすことができます。所定労働時間を超えて労働することが必要な場合の選択肢として認められています。

(11)専門業務型裁量労働時間制を採用するとき(監督署届出必要)
研究開発など専門職について、使用者が具体的な指示をせず、裁量にまかせることを導入する場合の労使協定です

(12)年次有給休暇を時間単位で与えるとき
原則として、年次有給休暇は1日単位となっていますが、労使協定により、1年に5日分を限度として、時間単位の取得ができます。

(13)年次有給休暇の計画的付与を行うとき
労使協定により、各労働者がそれぞれが持っている年休日数のうち5日間をこえる部分に限り、計画的に年休に供することができます。

(14)年次有給休暇取得日の賃金を健康保険の標準報酬日額に相当する金額で支払う制度によるとき

以上のように、三六協定以外にも、労使協定が必要な制度がいくつかあります。労使協定は使用者と労働者が双方で取り決める協定であるので、よく協議の上、双方が納得できるように決める必要があります。また、使用者は選ばれた労働者の代表者に対して、賃金の減額や降格等の労働条件の不利益な扱いをすることは禁止されていますので注意が必要です。

また、労使協定を結ばなかった場合の罰則については、例えば三六協定を締結せず、1週40時間・1日8時間の法定労働時間を超えて働かせるてしまうと、労働基準法違反となり、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。おそらく罰則が科される前に是正勧告が先にあることが、一般的であると思われます。

労働協約が組合員だけが対象に対して、労使協定は全労働者が対象になります。労使協定を締結した場合は、文書での配布は義務づけられてはいませんが、就業規則と同様に労働者全員がいつでも閲覧できるようにしておくことが必要であるでしょう。

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